薄桜鬼

□貴方の心と私の手
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立春も過ぎ、春が近づき始めた今日この頃。



「う〜、寒いなぁ」


まだまだ冬の寒さが残り、春が来ているのか心配になるほど冷たい風が吹き付ける。


既に屯所中の掃除も洗濯も終わってしまった奏は屯所の庭掃除をしていた。


一段と冷え込む今日は外に出ているだけでみるみる手がかじかんでいく。


はぁーっと両手に息を吹き掛けて、少しはマシになった手を確認するとせっせと竹箒を動かし始める。


そこへ丁度、巡察が終わった二番組が帰って来た。


「あ。永倉さんお帰りなさい。巡察お疲れ様です」

「おう!ただいま!!
お。奏ちゃんは掃除してたのか。ご苦労さん。」


二番組組長の永倉新八は
隊士達に先に屯所の中に戻るように告げると奏の傍に寄り労いの言葉をかけた。


ふと視線を落とした永倉の目に奏の赤くなった手が入る。


「うおっ。
奏ちゃんの手ぇ冷たくなってんじゃねぇか。」

「わっ、な、永倉さん。」


何気なく取ってみた奏の手は、永倉が思っていたよりもずっと冷たくすっかり冷え切っていた。

「あーあーこんなに冷えちまってよぉ。」

「は、はなしてください」

「だめだだめだ。
ちゃんとあっためねぇと。」


いきなり掴まれ優しく包まれた自分の手と永倉に恥ずかしくなり抵抗するが、女が毎日鍛えている男に力で勝てるわけもなく。

奏は内心諦め半分、恥ずかしさ半分でなされるがままになっていた。





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