戦国BASARA
□安眠メーカー
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PM23:20
電気を全て消したこの部屋で一人震える少女がいた。
「っ!」
肩がビクンと跳ね上がり、しかしそれを表に出していないかのように努める。
「…うっ……あっ」
時折聞こえる微かな声は悲鳴をあげない様にと結んだ口から我慢できずに漏れたものだ。
部屋の冷房が効いているからか、葵は冷えてきた肌を摩り始める。
その仕草に気付いた小十郎は静かに彼女の手に自分のそれを重ねた。
「こ、じゅうろ」
「寒いか?」
「ん、ちょっと」
「まぁ、そんな格好してたらな」
「だ、だって……いっ」
思わず目をつぶる葵の姿に苦笑しながら、小十郎は葵の手を撫でてやる。
「見たくないなら見なくたっていいんだぜ」
そう小十郎は言うが葵は頑なに首を振る。
「いつもここで目逸らしちゃうから、…今日は、ちゃんと最後まで見たい」
大袈裟だと言われればそこまでだが、健気な姿にじわりと庇護欲をそそられる。そして、それだけじゃない何かも。
我慢してても漏れてしまう自分の声への羞恥で葵の顔は時々赤く染まった。
そんな葵に対し小十郎はいつもと変わらずむしろ微笑む余裕すらある。
「……ひっ!!…こ、こわっ」
「大丈夫だ」
段々と涙目になり声にも涙が滲んできた葵に優しく声をかけながら頭を撫でて安心させてやる。
「あと少しだぞ」
小十郎の言葉に、少し安心した表情を浮かべたのは一瞬で、すぐに元の緊張した顔に戻る。
葵は無意識に繋がった手に力を込めた。
「あー、怖かった。本当に怖かった」
「あはー。だってこれ、本当にあった怖い話の厳選したヤツだもん」
「だもんって佐助…あ、元親、電気つけてー」
「…おう……」
「幸村は?…寝てる?」
「Ah…いや、コイツ気失ってるぜ」
「嘘でしょ旦那!?はぁー。俺様情けない」
「あれ?就は?」
「慶次と元親と休みに行ったぜ」
「俺様も旦那連れて休ませてもらうねー」
一人また一人とそれぞれ部屋に戻り出す
「じゃあ俺も寝るかな」
「それでは俺も」
「あ、」
「「ん?」」
葵の小さな声に政宗と小十郎が同時に振り返る。
「あ、あのさ」
「どうした?」
「あの、今日だけ、一緒に寝てくれない?」
二人は驚いた様に顔を見合わせた。
「仕方ないな」
「だ、そうだ。小十郎が添い寝してくれるらしいぜ」
葵は政宗と小十郎の二人に、という意味で言い、小十郎もそれに気付いていた為二つ返事で答えた。
政宗が言外に葵の申し出を断ったことに小十郎は驚いたものの、葵は大してこだわっていなかった。
とにかく誰かと一緒にいたい。今夜だけは一人で寝たくないと。
「いいの?小十郎」
それだけが気掛かりでそれが一番重要だった。
「of course!! 男に二言はねぇよな小十郎?」
「…もちろん。来い葵。一緒に寝てやる」
少しの間が気になったが、自分の名を呼んだ小十郎の表情が優しいものだと気付くと安堵した。
「っ、ありがとう!」
政宗におやすみを言いながら己の服の裾を遠慮がちに握ってくる葵を見て、今夜は朝まで一人耐久レースかと覚悟を決めた小十郎だった。
この温もりがあれば
いい加減早くくっつけと思ってるのは政宗だけじゃない
ぐだぐだ過ぎてごめんなさい。
破廉恥だと思った奴、前出ろ前だ!(笑)