short
□ただただ愛しい
1ページ/1ページ
「ランサー」
「なんだ?」
「好きー」
あぐらをかいて座っていた彼に正面から抱き着く
唐突な言動はいつものこと
「どうした?」
「好きー」
「くすぐってぇ」
困ったような、しかし嬉しそうな声を聞くだけで私は幸せな気持ちになる
優しく抱きしめ返してくれる彼の腕の中は心地好い
「好きー」
「俺もだ」
「ふふー」
「なんだ?」
「ランサーが素直」
「いつもだろ」
「そんなことないし」鼻を彼の肩口に擦り寄せながら発した言葉はたぶんくぐもってちゃんと届いてない
でもそんなことはどうでもよくて。シャンプーもボディーソープも同じものを使っているハズなのに、確かにランサーの匂いを感じていることが今のすべてだった
「好きー」
「今日は珍しく随分と甘えただな。」
「そう?」
「あぁ」
「そう、かも」
「何かあったのか?」
「んーん。なにもないよー」
「そうか、」
ランサーの肩に顎(あご)をのせたり、頬をのせたりして楽な体勢を探しながら考えてみた
「んー。
強いて言うなら、」
人肌(貴方)が恋しいのです