ハイキュー!!

□経験済みなんですか?
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何かと多感な男子高校生が数人集まれば、自然とそういう話題が持ち上がったりするものだ。
例えば、部室という狭い空間で、女子の目が無いとなれば、その話題で盛り上がってしまう事もある。

「やっべー……見ちまった……」

はぁ、と胸を押さえて部室に入って来た田中に、着替えの途中だった一年生と西谷が振り返った。
あぁっ、もうっ! と頭を掻く田中に西谷が首を傾げる。

「どうしたんだよ、龍?」

「何見ちゃったんですか?」

西谷の隣で着替えていた日向も、ズボッとTシャツに頭を通して田中を見上げる。
カバンをロッカーに入れると、田中は少し声のトーンを落として内緒話をするような仕種を見せ、西谷と日向はそそそっ、と耳を寄せた。

「……さっき、男バスのキャプテンとマネージャーがさ……」

うんうん、と頷く二人に田中は勿体ぶったように言葉を途切る。
興味を示さずに着替える続ける月島の隣で、山口は聞き耳を立てその続きを待っていた。
そんな彼等の様子を見ながら、影山はジャージをバサリと羽織る。
ジッパーを上げようとした所で、田中が口を開いた。

「キスしてた」

「おーっ」

「えっ、ま、マジですかっ?!」

キラッ、と目を輝かせた西谷に対し、日向はポポポッと頬を真っ赤に染めた。
ついこの間まで中学生だったのだ。
経験がなくとも何ら不思議ではないし、その初な日向の反応に田中は、ついつい先輩風を吹かせたくなってしまう。

「まぁ、学校ですんなっ! とは言わねぇけどさ、人目を気にしろってんだよな」

「隠れてこっそりするから、ドキドキすんのになっ!」

ニカッ、と笑って同意をする西谷に、田中は思わず「え?」と返してしまった。
いかにも経験者談のような口ぶりに、まさか、と視線を向けるが、西谷はニコニコしたままで表情からは真実を探れない。

「がっ、学校でそんな事するなんて……っ!」

明らかに動揺している日向の肩に西谷が腕を回す。

「何、お前まだなの?」

「日向が経験済みのワケねぇよなーっ」

がしっ、と両脇から先輩に捕まって、日向は顔を赤くしたままあたふたしている。
それを横目に見ながら、影山はふと思い出していた。




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