GIANT KILLING

□アナタには敵わない
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達海は寝起きが悪い。
起きたと思ったら二度寝してるなんて、しょっちゅうだ。
覚醒前の、ぽやん、としてる達海はとても35歳とは思えない程、可愛いくて仕方がないのだが、起こす側としては大変だ。

特に。オフの日は。

「達海さん。そろそろ起きて下さい」

肩を揺すっても、「うーん…」と声を上げて寝返りを打つだけで、目が覚める気配はない。

抱き込んで丸くなってるタオルケットを引っぺがそうと手を伸ばして−−止めた。
タオルケットの下の達海は素っ裸だ。
昨夜の情事の跡が色濃く残る裸を朝から見たら、理性を押さえきれるか分からない。

「−−行きたい所があるって言ったの、達海さんだろ」

恨みがましく呟いても、夢の中の達海はすよすよと気持ち良さそうに眠っている。

「−−達海さん」

腰掛けた赤崎の重みでベッドが沈んでも、気付く気配のない達海の耳元に唇を寄せて。

「起きないなら、襲いますよ」

そっと囁いて、頬にキスをした。
僅かに身動ぎした達海の髪を梳いて反応を待ってみるが、やはり目覚める気配はない。

昨夜、達海が「朝ごはんはオムライスが食べたい」と言っていたのを思い出して、朝食の準備をしようと立ち上がると。

「……?」

くいっとシャツを引っ張られた。
振り返ると、背を向けたままの達海がタオルケットの下から手を伸ばして、赤崎のシャツを掴んでいた。

「−−起きなかったら襲うんじゃないのかよ?」

ゴロンと寝返りを打って、体を丸めたままニヒ、と達海が笑う。

「襲われたいんですか?」

いつから目が覚めていたのか。
もう一度ベッドに腰掛けて、タオルケットからはみ出た足に手を滑らせた。

「くすぐったいって」

足を引っ込めて、達海がクスクスと肩を震わせた。
動きを封じるように達海の両脇に手をついて、もう一度、赤崎が「どうなんですか?」と問い掛けた。

「んー?」

首を傾げながら、自分を見下ろす赤崎の首に手を回す。

「やっぱさ。おはようのちゅーは、こっちでしょ?」

ん、とキスを強請る達海に、赤崎は小さく息を吐いて覆い被さった。
ちゅっ、とわざとリップ音を立ててキスをする。

「早く起きて服着て下さい。朝ご飯、準備しとくんで」

体を起こそうとするが、達海の手が首から離れない。
手を剥がそうとしたら、むー、と達海がむくれた。

「もっと」

「はあ? あんた、朝から盛ってんのかよ?」

眉を顰めて見下ろした先には、鎖骨にくっきりと残ったキスマーク。
タオルケットを捲れば、其処彼処に残っているはずだ。

(−−違うな)

盛ってるのは自分だ。
無防備な寝顔に。
太陽の陽射しを浴びて際立つ、色素の薄い髪や白い肌に。
これ以上触れたら止まらなくなりそうだから。
さっさと寝室を出ようと思ったのに。

ニヒヒ、と笑う達海にはバレているようだ。

「ほらー、早くー」

煽るように、薄く開いた唇から舌を覗かせる達海に苛立ちながらも、抗う事も難しくて。

「−−チッ」

達海の思い通りになるのも癪に障るが、煽られたら煽り返すのが信条だ。

「今更止めても無駄ですからね」

「止めたって止まんねーだろ?」

ニヤニヤと笑う達海の唇を乱暴に塞ぐ。
んぐ、と漏れた息も一緒に強く吸って、寝起きの達海には激しい程のキスをする。

(もう、どうにでもなれ)

達海の体を思って我慢していたのに。
こんな風に誘われたんじゃ、理性も何もあったもんじゃない。

欲望のままに。
けれど、ほんの少しの気遣いと優しさを見せながら。
煽る余裕なんて無くなるくらいに、赤崎は達海の体に熱をぶつけた。



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