魔王は世界を救う
□chapter 8
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あの子たちにした罪は重いよ?
眼前で、この国では見たことの無い漆黒の髪と目をした少女が、薄く笑った。
私は身の震えが止まらず、歯はがちがちと情けない音を立てている。
私に纏わりついている影が、まるで生き物のように動く。
ひっと情けない声を上げて、助けてくれとエレナに頼んでも、我が娘はこちらを見ようとはしない。
「お前をここまで育ててやったのは父親である俺だぞ!お前は恩を仇で返すつもりか?!」
これが少女の怒りに触れたのだと分かったのは言葉を吐いた直後だった。
視界が闇に包まれていく。
「な、何だ?!」
もう少しで光が消えるというとき、少女の冷たい声が―――冷たい?いや、温度を宿していない声が聞こえた。
「よかったね。エレナが、殺さなくていい、だって。でも」
頭が!頭が割れるように痛い!
それに、生きたままバラバラに千切られていくような鋭い痛みが貫いていく。
「死ぬほどの苦痛は、味わえばいい」
私のそれからの記憶は、痛みしかない。