魔王は世界を救う
□chapter 7
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エレナが、両親の仕事が最低だと思ったのは、彼女がまだ十、弟が七つのときだった。
檻に入れられた十数人の怯えた顔をした子供たち。
気味悪い笑顔を浮かべた頭の悪い貴族。
そんな奴らにぺこぺこ頭を下げる両親。
貴族が一人を指差す。
そうしてまた一人、売られて行く。
エレナは両親の全てが嫌いだった。
金に貪欲なところも、子供を売っても何とも思わないところも、自分たちの幸せしか考えないところも。
暴力を振るわれていたから尚更だった。
何度も逃げようと思った。
逃げ出そうともした。
だけどその度に失敗して、扱いが酷くなっていく。
もう、諦めていた。逃げることなど。
一人の少女が現れるまでは。