魔王は世界を救う
□chapter 5
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小さい頃はいつも一緒で、離れて行動したことなんか一度も無かったことを、私は覚えている。
私にとって伊織は、何にも代えがたい半身。
なのにこの世界に来て彼女が見えなくなってしまった。
私が修行とかで中々一緒にいれないせいもあるけれど・・・・。
城の中で時々会う伊織はどこか遠い目をして私を見つめるようになった。
その目を見るたびに私の心には言いようの無い不安が広がっていった。
伊織に抱きついて、何を考えているのか聞きたいけど、今の私にそんなことをする余裕はなかった。
世界を守らなきゃ。
昔滅んだはずの魔王の復活。それによって消えていく、穏やかな平和。
魔王を倒すために、周りの人の笑顔を守るために、私は修行に励んでいった。
だけどそれは、伊織を傷つけるためにしたものじゃない。