短編

□Ace
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※学パロです。
【今はまだ、このままで】 続編


あの日、渡せなかったマフラーは、売ればいいのよというナミちゃんの熱心な勧めをふりきって、今は私の首にしっかりと巻き付いて、真っ白い息を吐きながら、待ちぼうけをしている私をちゃんと温めていた。

まだ誰も来ていないけれど、大晦日は、友達数人と待ち合わせをして、除夜の鐘をつきにいくことになっている。
その中には、エースもいる。

去年は大量の肉まんを抱えて、兄弟で現れたけど、今年はどうなんだろう。
弟君も来るのかな?


エースは元旦が誕生日だから、ちゃんとプレゼントも用意してある。
友達もいるし、買ってきたものだから、はい、プレゼントって気軽に渡せる。
大丈夫。時間もある。
頭真っ白になって渡せなかったクリスマスの二の舞にはならない。


それにしても、いまだに誰も来ないなんておかしいな。
時間か場所を間違えたかもしれない。
そう思って、誰かに連絡を取ろうと思ったら、エースがやってきた。


『悪ィ!遅れた。』


今日は弟君の姿が見えないから一人みたい。
走ってきたのか、息が乱れてる。


『大丈夫だよ。まだ他の子来てないし。』


友達が来るであろう方角を見てみるけれど、知った姿は見当たらない。


『あ、なまえは聞いてないのか。今日は俺と二人だけだ。』
『え。そうなの?』


昨日まで、楽しみだねって話をしていたのに、二人きりだなんて聞いてない。
二人きりと考えると、途端にドキドキしてきた。


『渡せなかったんだろ?ソレ。』


エースが指差すのは、私がしているマフラー。


『う、うん。』


内心、とてもとても焦っている。挙動不審になっていないだろうか。
今、思い切り、エースから目線をそらしてしまったし。

あぁ、誰に渡すつもりだったんだとか聞かれたらどうしよう。

落ち着け、大丈夫、落ち着けと考えながら、徐々に混乱していく私は、ソワソワとしてまったく落ち着かない。


『ソレ、ちゃんとくれよ。』
『え?』


聞き間違いかと思って、エースを見たら、いつになく真剣な顔だった。
ただ、頬が少し赤い。
走ってきたからというわけではなさそう。


『クリスマスん時は、あんな風に帰っちゃって、ごめん。分かってたんだ。誰にあげるつもりだったとか、なまえが俺のことどう思っているか。俺も、ずっとなまえのこと見てたから。今までの関係から一歩踏み出したりするのは照れくさくて、さ。それで、つい。ほんと、ごめん!』


まさかの急展開に、舞い上がりつつある私の思考回路は使い物にならなかった。
実は夢か何かじゃなかろうか。


『でも、なまえが他の男のものになる可能性の話されて気づいたんだ。やっぱり一歩踏み出すべきだって。別にサッチに触発されたわけじゃないからな。俺がずっと前から、なまえのことが好きで…。』


わたわたと慌てだしたエースは、ゴホンとわざとらしい咳払いをして、ぺこりと頭をさげた。


『俺と付き合ってください。』


つられて私もぺこりと頭をさげた。


『よ、よろしくお願いします。』


それから、除夜の鐘のことはすっかり忘れて、クリスマスのときに渡すはずだったプレゼントの交換をしたりした。











「と、いうことがありました。」


まだまだ冬休み中で、バイト先に現れたロビンちゃんと休憩時間中のナミちゃんに捕まって、告白されて返事をして、マフラーとプレゼントをあげたことを報告しました。
これから、更なる追求が待っていると思うと、顔から火がでそう。



【まだドキドキしてる】



「あー、ようやくくっついて安心したわ。」
「ふふ、そうね。お膳立てした甲斐があったわ。」



title by 確かに恋だった


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