短編
□Ace
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※学パロです。
エースと私は幼馴染で、家が隣。
小さい頃から、だいたいいつも一緒にいる。
今、エースは、"あー"とか"うー"とか、変な声を出しながら宿題をしている。
私は、とっくの昔に終わっていて、ソファに座って宿題しているエースの横で、カーペットに座ってテレビゲームをしている。
エースの宿題がどこまで進んだのか見ると、私も苦労した問題で、ガシガシと頭をかきながら、あーでもないこーでもないと書いては消していた。
「教えてあげようか?」
すでに終わった余裕から、ふふんと勝ち誇ったように声をかければ、いらねぇ!と乱暴な声が返ってきた。
「…それよりさ。バレンタインは、やっぱアレだけ?」
「うん。」
昔からイベントごとに興味がない私。
ついこの前からエースに言われて付き合うことになったけど、例年通り今年もチョコレートなんてものは用意しなかった。
その代わり、放課後に、とても役に立つものをプレゼントしてあげた。
大きい大きい紙袋。
毎年、持ち帰るのに苦労しているのを知っているから、用意してあげたんだ。
「すっげぇ助かる!って喜んでたじゃん。」
一応、ハッピーバレンタインデーという言葉とともに、プレゼントしてみた。
その後、エースの家に帰って、今日みたいに宿題やって、ご飯食べて、ゲームしたりして遊んで、そろそろ自分の家に帰るって時間になる頃には、チョコなしに気づいたのかすっかり不機嫌になってたけど。
「そりゃぁ、あん時は助かったからさぁ…。」
もごもごと何か言いたそうなエース。
「世の中の女子みたいに、全員がチョコ用意すると思うのが間違いよ。」
毎年言っているセリフ。これを言うと、エースは黙る。
ただし、今日は口を尖らせている。
「やめてよ、拗ねてるの?」
ちらっとこっちを見て、すぐに宿題に視線を戻すエース。
幼馴染から恋人になったから、少しは期待していたのかな。
でも、買ってないし、買うつもりもない。
持ちきれないくらい貰ってるんだから、いいじゃないか。
今後のためにも釘をさしておこう。
「わかってるだろうけど、私、これからも、バレンタインデーとかクリスマスとかのイベントに積極的に参加はしないよ?」
彼は、むすっとした顔で、宿題をにらんだまま。
「わかってる。それがなまえだもんな。」
心に残った残念な気持ちは消えないまま、私を尊重しようとして、もやもやしているのかな。
なんでもちょっと我慢しちゃうお兄ちゃん気質。
あ、これって、そのうち、俺だけが好きなんじゃないかとか、妙な喧嘩に発展するフラグなんだろうか。
そんなことないしなー。
しょうがない。ちょっと照れくさいけれど。
と、心の中で言い訳をして。
「チョコはあげないけど、私の初めてをあげよう。」
私は膝立ちになって、エースの胸倉をつかんで、そのままびっくりしているエースの唇を奪って、パッとつかんでた服を離して、ゲームに戻った。
【そのまま受け取れ!】
「おかわりしたい。」
「無理。」
title by 空をとぶ5つの方法