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□雨降りライオン
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は組の加藤が夕方に部屋に来た。だから明日はきっと雨なのだ。

なぜなら、俺と加藤はあのかつての委員会の先輩二人よろしく、やるかやらいでかのなんとも活発な関係なのであり、だから、わざわざ、特別な理由がなく、加藤が俺の部屋を尋ねて来るなんてありえないこと、つまり、明日は雨だ。


何をしに来たと尋ねれば、結い紐を差し出してきた。

『結んでくれ。』

くるりと背中を向ける加藤の髪は量の多いくせ毛で、俺は昔、学園長の庵で見た唐獅子の掛け軸を思い出す。


俺は黙って加藤の髪を纏めて、高い位地で結んでやった。しっかり、もう二度と外れない程きつく結ぶ。

加藤もずっと黙っていた。

結い紐から手を離した瞬間、風がどうと吹いて、結ばれた加藤の髪がざわりと揺れる。やはりそれは唐獅子の尾の様だ。

『やっぱり器用だわお前。』

背中を向けた加藤の表情を俺は知らないが、その時、記憶に有る限り加藤が俺を初めて褒めた。

だから、明日は雨。ざんざん降りの大雨だ。

だから、これから夜を越えるこいつがすることは、きっと全部流されるんだろう。

『行ってくら。』

背中を見せたまま加藤が夜の闇に消えていった。


雨降りライオン





は組切り込み隊長、出陣。
end.


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