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□肩が触れるくらいの距離
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仙蔵

人間は独りでは生きていけないと言ったのはどこの誰だったか。

私はそれを間違っているとは言わないが、同時に孤独は人間を美しくするとも思っている。

また、『孤独』とは『独り』ではないという事が前提であるという矛盾も知っている。

私は、真の混じり気ない孤独について、常に考えていた。

それはきっと美しすぎて誰にも見ることができない。



文次郎

鍛練馬鹿と良く言われているが、馬鹿でけっこうだと思っている。

努力は常に答えをくれる。
何事も全力をかけるとそこにはそれ相応の意味が出てくるのだ。

動きたいと思う方向に動かねば人間は腐る。

それに比べれば、ぶつかろうが潰されようがその痛みはなんてこともない。

痛みは俺と肩を並べて俺に意味をくれた。



六い

立花仙蔵と潮江文次郎は他のろ組、は組の二人組達と比べればあまり仲が良い様には見えない。

立花が吐く毒を潮江は別の毒で返し、潮江が吐く毒を立花は倍にして返す。そんな二人である。

決して仲睦まじくは見えないのだが、それでも常に二人でいることが多い彼らなので、一年生の時は教師達からはその表面を見て『仲良し』ということされていた。

六年生になった今では流石にそんな可愛らしい言葉が彼らを飾ることはなくなったが、それでも彼らは常に二人だった。

立花と潮江は様々な面において気が微妙に合わなかったが、お互いがお互いを少し気に喰わず、少し自分より優れていると思っている点では非常に気が合う二人だった。




肩が触れるくらいの距離




六いの日!
end.


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