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□もしもし、応答せよ
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今日はいつもと同じで、どこも怪我していないし、食欲もあるし、よく寝た。
なのになんだが胸の当たりのような場所がスカスカとする。
その、スカスカが気になって力があまり入らない。周りから見るといつもと同じに見えるみたいだけれど、
三之助と作にそれを言ったら、作はどこか具合が悪いんじゃないか。とか保健室に行くか。とか言いながら私の頭を撫でてくれ、三之助は饅頭食うかって自分のおやつを分けてくれた。
嬉しかったし、頭を撫でられてる時と饅頭を食べている間はスカスカはあまり気にならなかったけど食べた後はまたスカスカとしてきたから私は困ってしまった。
潮江先輩のところに行ったら、先輩はちょっと考えた後、身体を動かせば良いと言った。
ならば、私は、学園中を走り回ろうかと走り出す。
そうして、気がつけば周りはうっそうとした緑で、また迷子だ。
疲れたので少し休憩。
スカスカは小さくなったけれど、まだ消えない。
『左門?』
目の前の緑ががさがさと音を立てたと思ったら、孫兵が出てきた。
『迷子?』
俺は頷く。
じゃあ一緒に帰ろう。と白い手が伸びてきた。
見た目に反して熱い手を掴む。私の手も熱いものだからじわりと手の平が汗ばんだ。
ぎゅっと握ってみる。
すると、スカスカがまた小さくなって、そして消えた。
孫兵にそれを伝えると、一瞬、意味が良くわからないって顔をして、左門が元気になったなら嬉しいよと言った。
もしもし、応答せよ
ちょっとセンチメンタルな左門
end.