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□無神論者の聖書
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世界は瞬間でできている。こうしてる間も、留まることなく変化している。
昨日の僕は今日の僕とはまったく違う人間で、僕はそんなことを物心着いた頃から知っていた。

世界に永遠は存在しない。

別に悲観的な事ではなくただ、そうだというだけで、それにそれはこの世界の存在全てにおいて、平等なのだ。

どんなに沢山のものがいても永遠だけは与えられることはない。



僕は彼の手を繋ぐ。
彼の手、その皮膚、少し傷だらけの、その下の血液。僕の手を握り返してくれる筋肉とそれらに包まれた骨は明日も少しだけ伸びていく。

その身体に血液を送る心臓はいつかは止まる、彼も、僕も。

僕も彼の手をきつく握る。彼の爪は少し伸びていて、少し痛い。


世界に永遠は存在しない。

だけど、彼と僕の間にはそれがあるように、そう思えてしまった。

錯覚でも良い。それでも彼は『永遠』だ。


だって、こうしている間にも、僕の目に映る彼の瞬間の、その全てが、僕に永遠を刻み付けていく。








無神論者の聖書


伊賀崎視点
end.


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