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□言葉にして
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尾浜×鉢屋

『勘右衛門、頼んでた菓子買っといてくれたか?』

『あ、忘れた。』

『うっそ。マジで。』

『なんつって。ちゃんと買ってます。』

『うっそ。マジで。』

『鉢屋の好きなやつは余分に買ってあります。』

『うっそ。マジで。勘ちゃん愛してる!』

『うん。俺も愛してる。』

『うっそ。マジで…って、ん、ん?』

『愛してるよ鉢屋君。』

『マジで?』

『マジで。』







斎藤×田村


ふんわりと嫌みのない笑い方とか、同じように柔らかい声とか、身一つで色んな人の中に溶け込んでいく姿とか、

『全部、全部。そういうの、僕は素敵だと思いますよ。』

『ありがと、三木ヱ門。』

またそうして見せてくれる、ふわふわとしたあなたの笑顔が見たいから何度でも口に出しましょう。


『好きです。』

『俺もだよ。』

なんと、なんと、笑顔以上のものが戻ってきた。







立花×潮江

何となく名前を呼んでみた。掠れた小さな声で呼んでみた。

そうするとあいつはまるでなんてこともないように振り返る。
何となく腹立たしい。

『なんだよ仙蔵、その顔は。』

『こっちを見るな不愉快だ。』

『へーへー。』

私の憎まれ口も慣れたもの。あいつはまた手元の書物に目を落とす。
この阿呆はまだ図書室に本を返却していないのだ。


『おい。仙蔵。』

『なんだ。』

『言いたい事はちゃんと言えよ。』

お見通しだと言いたい訳か、腹立たしい。腹立たしい程に、

『私は、お前を愛しているかもしれん。』

『ん、知ってた。』


ああ、ほんとうに憎らしい。





言葉にして
告白っぽいSS×3


end.


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