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□side・side・side
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空の青をうつす遠浅の水の上に立っていた。
どちらを見渡しても全て青、青、青。
上を見上げればぞっとする程深くて目眩がした。
僅かに波が足に当たりその度にちらちらと水が光った。
さて、ここはどこなのだろうか。
『―――。』
名を呼ばれた気がして目をやれば、こちらに手を振る青以外の色。
穏やかに微笑む白い顔の赤い唇、空の深い青と水の透明な青。
あまりの美しさにまた目眩を覚えた。
奴の元に俺は大股でばしゃばしゃと近づいていく。
『ここは何処だろうな。』
俺が持っいてた疑問と同じものを呟きながらも奴の顔は今まで見たこと無いほど晴れやかで、
『まあ、良いか。気持ちの良い場所だ。』
そして、今まで見たこと無いほど無邪気な笑みを湛えていた。
『ご都合主義』、『おめでたすぎる』、そんな言葉がふと過ぎる。
『こんなものとは思ってはいなかったな。』
と、その過ぎる言葉のままに出た俺の言葉に、奴が笑みを歪めた。皮肉めいた、懐かしいいつもの笑い方だった。
『これからどうする。』
『あちらへ行ってみよう。』
適当な感じに奴が白い指で水平線を指す。
『おう。』
そうして、二人で、空の青と水の青の間を歩き始めた。
気がつけば子供の様に手を繋いでいて、俺もとうとう笑った。
side・side・side
end.