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□ゴンドラから真っ逆さま!
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この感情は殆どの人間が持っているものらしいと知っていたが、自分だけは例外だと思っていた。しかし、それは世間で言うようにやはりある瞬間に突然生まれるものだったようだ。



愛されたいなら、ただ、愛されたいというのなら、今は、あの子達でもあの人でも、この私なんぞを愛してくれるから、今の私は恵まれていると思うべきなんだろう。あの人などは私に幸せであってほしいと言った、私は、今、幸せだと思う。

だけど、それでも私はお前が良かった。お前が欲しかった。
他の全部はいらないと言えない私は強欲だけれども、私はお前が良かった、ただそれだけが言えた。

お前が私を愛さなくても、それでも構わないと思った。
私がお前を思っていられるだけで、お前が何処かに生きているだけで、私には価値があった、この浮世は尊いと思う。

嬉しい顔も悲しい顔も見たいけれど、今まで悲しい顔をさせてばかりな気がして、それだけ、今は気掛かりで、


つまり、何が言いたいか、と言うと、私は

『嗚呼。もう分かった、分かった。』

私の言葉を遮る彼は耳まで赤くして、その頭上の空は久しく見る青空だった。
私はその空を見上げる、風は冷たくとも春は近い。

『愛してくれなくとも、』

『…だから、』

『愛している。』

ぐいと引き寄せられて抱きしめられた。

冷たい風に掻き消されそうな声で彼が、愛してくれなくとも、なんてことは二度と言うな、と言った。



ゴンドラから真っ逆さま!



慰めあいだとかボコりあいだとかいろいろごまかしていた照星さんが自分の恋情を認めたスーパー口説きタイムだけど誰てめ。昌照textの多幸感そして飢餓と微妙にリンクしてたり。


end.



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