text
□アイをこめて
1ページ/1ページ
まあ、アンタに彼女ができるなんて、世も末よね。足が速いのだけが取り柄で学業オール3の頭脳中の下、顔も中の下のダッさいアンタに彼女とか、ちょーウケるんですけど。
良くもまあ、この日まで持ったもんよね。それは評価してやってもいいわよ。アンタじゃなくて彼女をね。アンタには勿体ない可愛いーい彼女さんのことよ。
今時黒髪セミロングなんてね、まあ珍しい清純系だこと。草食系(笑)のアンタにはお似合いなんかしらね。
こないだ、駅前を二人で歩いてんの見たわ。ニヤニヤデレデレして馬鹿面。彼女が可哀相だったわよ。
で、今日も今からデートってわけ?そうよねぇ。ロマンチック(笑)なクリスマスですもんねぇ。で、ユニクロのチェックシャツにダウンジャケット?何考えてんのよダサの極みって奴ね。
私?私もデートよ。アンタなんかと違って大人で格好良い彼が待ってるの。髪もこの日の為に綺麗に巻いて、爪もピカピカにして、白いニットワンピースでね。彼の為に特別にお洒落したのよ。
彼はね、アンタみたいに、ダサい花束持ってデートに来ないの。ちゃんと駅に車で迎えに来てくれるの。
嗚呼、もう、へらへらしてんじゃないわよ鬱陶しい。そこをどきなさいよ、違う道を行きなさい。そこは私が通るのよ。ねえ、アンタ気づいてないの?ちょっとこっちを見なさいよ。
『ユキちゃん。』
振り向いたらこちらに向けられた微笑み。
『その格好、可愛いね。』
ふにゃっと笑う奴の眼鏡をカチ割るべく私は走りだした。
アイをこめて
ユキちゃんがツンデレ過ぎるんか猪名寺君がウザいのかイマイチ曖昧なのが乱ユキの良いところなんやで。
end.