桂小太郎


□雨のち晴れ
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ザ―――ッ…

上履きから靴に履き替えた私は、昇降口で足止めを喰らう。
放送室からチラリ見た分には大丈夫だろうと思った。
でも実際この降り方は傘無しでは厳しい。
委員会で遅くなり、友達はもう皆帰ってしまっている。
いや、友達どころかもう誰も居ないか。

「ハァ……」

私は溜息をつくと、不機嫌過ぎる空を見上げて途方に暮れた。




「傘が無いのか?」

突然話し掛けられビクリとなった。
振り向くと、桂君が靴を履き替えている。
まだ残ってたんだ…

「駅までなら入れていってやれるが…」

私の横で、桂君は折り畳み傘を広げる。
彼のことだ、普段から常備しているのだろう。

「どうする?」

私は雨と桂君の顔を交互に見た。
この場合はもちろん、

「お願いします。」



高校生の男女が相合い傘なんてしていたらワイワイ騒がれるものなのだろうが、今はそんな人影も無く、私と桂君は一つの傘に並んで静かな学校を出た。







 
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