夢
□想秋
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ふと、隣の健康的な褐色の肌をした、精悍な横顔を眺める。
(睫毛、長いなぁ)
瞬きをする度に、目にかかる髪がふるふると揺れる。
普段は自分で男前なんていうから笑って流すけど、こうやってじっくり眺めるとほんと整った顔立ちしてるんだよね。
珪君みたいな綺麗、とは違う。
特別かっこいい訳でもないんだけど。
(なんかいい顔、なんだよね)
気づかれてないのをいいことに、まじまじと横顔を観察する。
蒼い、深海を思わせる髪。
つり目がちのキツイ印象を受ける目は、表情豊かな夕陽色の瞳で懐っこい印象に変わる。
真っ直ぐに通る鼻筋と、女の子をドキドキさせる甘い言葉を紡ぎ出すのが上手な薄い唇。
ほんと、なんかいい顔。
ぼんやりと眺めていると時間を忘れそう。
もう少し、見ててもいいかな――?
「部活、楽しそうでええなぁ」
姫条くんの言葉にはっと我に帰る。
いけない、いけない。
どこか飛んで行っちゃってた。
良かった、見てるの気づかれなくて。
ていうか、
「なんで入らなかったの、部活」
楽しそうにグラウンドを眺める姫条君に聞かずにはいられなかった。