□Which expresses a kiss
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最近結ちゃんとの“親友”っちゅう関係も、オレの中で結構キツイもんになって来た。

今日は“ゲーセンデート”に誘われてんけど、多分コレ…本命葉月に断られた後釜やと思う。アイツこないな騒がしい所は好きちゃうやろ…

結ちゃんもなんでそないなとこに誘うんかいな…

まぁ、そう言う計算出来ひんとこも結ちゃんらしいっちゃらしいねんけど。

“後釜”っちゅう時点で断ったらええもんやのに、ホイホイ付いて行ってまうところがオレがどんだけ結ちゃんにやられてんのか解るってなもんで。

夕暮れ迫った帰り道、これまたお決まりのパターンで

「ね?まどか…ちょっと話聞いてくれないかな?」

とか、潤んだ上目遣いで言われたら『おぉ、構へんで?』って言うてまうやろ?

砂浜に向かいながらオレの頭の中は“なんであの時《親友》なんていうポジションだけでも確保したい”とか思ってもうてんやろ…

そんな後悔でいっぱいやった。

すぐ手ぇ伸ばしたら触れられる距離におりながら、触れることも許されへん。

愛おしいと思っても抱きしめることも叶わへん。

なんで、そんなポジション確保したんやろって。



もうちょっとで太陽が海に溶ける様な時刻。

ようやく砂浜に辿り着いた二人…

ふいに結ちゃんが聞いてきた。

はいよー。どうせ、またいつもみたいに“女の子らしいって”やの“ドキドキするときって”やの“恋愛って”っちゅう感じの質問やろ?

そない高括ってたら、この子はホンマビックリするっちゅうねん…




「ね?まどか。キスってどう思う?」




はぁっ?

キ、キス…でっか?…本気かいな?この子…




そんな恋愛の“いろは”の“い”を聞いてくるっちゅうことは、葉月と…その…それをしたんやっちゅうことか、しようっちゅうか、したいっちゅうか…

ハァ〜

元々エライ鈍感やから、オレが今どないな気持か解るはずもあらへんしな…

動揺してるみたいに見えるんも、なんかカッコ悪い気ぃするし…

結ちゃんと知り合うまでの、まぁ言うたら“軽ノリ”で“イチャコラ”専門で“来るもの全てイタダキマス”やった頃の話でもしたろうか?

それがせめてものオレのプライドや




『キス?なんやぁそんなもん、自分普通に当たり前やで?別に特別なもんやあれへんし』





な、なんやねん…

オレからの答え聞いた直後から結ちゃんの表情が曇り始めて…ほんで一言。

「……そ、そっか。…まどかは…キス、してるんだね…何度も…色んな人と…」

へ?

どう言うことやねん?この場合、言う言葉がちゃうやろ?「そっか、じゃぁ思い切ってわたしもしてみようかな?」とかなんちゃうん?

機嫌の悪くなったまま俯く結ちゃんに耐えられんくなって、なんも考えんとまた余計なこと言うてもた。

『いやー…ほれ!その時のムードっちゅうか、雰囲気っちゅうか…あぁ、そぉやノリちゅうん?例えば今みたいな“夕暮れ時の浜辺”やなんてロマンチリクルなときやったら、アリやな?…って……?』



…………あっかーんっ。調子に乗り過ぎた。

結ちゃんは今にも零れそうな涙を両目に浮かべてオレを見上げてるし。

や、ヤバイ…

この子とおると、ホンマ調子狂うねや。

自分の好きなんは葉月やろ?せやのになんで、オレの言葉にそんな顔すんねん。

泣きたいのんは結ちゃんやのぉて、オレの方やっちゅうねん。

取り付く島もない状態にオレ堪らんくなって頭抱えて砂浜にしゃがみ込んだ。



「…変…だと思ってるよね?」

『は?なにが、や?』

「……可笑しい…よね?」



『…ごめん、結ちゃん何のことかハッキリーーーー』

俯いてた顔を上げた結ちゃんは、夕焼けのせいかなんや解らんけどほっぺたオレンジに染めて、

「…今更って思うけど…わたし、自分の気持ちに…本当に好きな人が誰か解ったの…」

『…な、なんやねん…そら良かったな…ほんで葉月と違ぉて誰やってん?…まぁ誰が好きでもオレは今まで通り……には、いかんわ…スマン…もう勘弁や。めちゃキツイねん。この状態。カッコつけてもオレやっぱり自分ーーー』

「まどかが好き。わたし、まどかが好きなの。」

オレの言葉に被せるみたいに呟いた結ちゃんの告白

オレめちゃマヌケ面やと思うわ。ホンマ。

『ふぇっ?…ち、ちょぉ…自分こないな所でなにそんな冗談…趣味悪いで?』

「冗談なんかじゃない。わたし、気が付いたの。いつもわたしの傍に寄り添って見守ってくれてるのはまどかだって。それに…」

『それに?…』

「好きじゃなきゃ、誰とでもキスしてるって聞いて嫉妬しないよ?」

!!

嫉妬?

『そ、それ…自分さっきの、オレが言うた事で嫉妬したって言うんか?』

「うん…バカみたいだけど。」

そう言いながら俯いて耳までハッキリ赤らめてる結ちゃん見たら、なんや胸の辺がギューってなって、喉の辺りがゾワってなって。

気ぃ付いたら結ちゃんの正面に立ってその目ぇ覗き込んでてん。



『今後はおまえ以外とは絶対せえへん。約束や。』



オレから結ちゃんへ初めて贈る本気を込めた約束のキス

それは甘ぉて柔らかぁて。温ぅて。

そのまま結ちゃんの華奢な身体ごと抱きしめて頭に顎載せて約束や。



『本気のキス、これからいっぱいしようや?二人で。な?』



Which expresses a kiss〜どんなキスを表現するか…


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