自害志願者
□第一章 日記
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死のうと決意してから幾日たったのでしょう。
業務用のロープは一向に机の上の飾り物。
死に所も下見ばかりしていたものですから、その時の情景やら騒音のイメージはすっかり染み付いています。
後は自分を吊るだけです。
しかしいくら下準備をしても、私自身がその決断を下すことができずにいるのです。
以来、私は西洋人形のように腑抜けた笑い顔をまとっています。
ここに至るまでは、決して短いものではありませんでした。
私なりに大変な苦労をして、悶え歩んできたのです。