佐助受
□忍の殺し方
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片倉の旦那、あんたは俺様を殺す。
だから、傍に居るのが怖いんだ。
忍の殺し方
初めて逢った頃は、忍が主――竜の旦那――の傍に寄る事を許さなかった。
訳も解らないままに、振り下ろされる刀から逃げた。
問答無用で斬り殺されても文句も言えないけれど、あんまりだよね。
俺様の足じゃなかったら、真っ二つだったかも知れないんだよ?
そんな状態が続き、あの御仁の余りの忍嫌いの理由を探った。
優秀過ぎて涙が出そう。
すぐに手掛かりを掴んで、その理由に納得。
使っていた忍の裏切り。
俺様から見れば、生きる為に雇い主を変えるのは当然の事なんだけれど、お武家様の硬い頭では理解出来ないみたいだね。
忍は金さえ貰えたら、主人は誰でもいいんだ。
でも、それは踏ん反り返っているお武家様達も一緒でしょ。
いつでも鞍替え出来るように情報収集して、裏から手を回しているんだから。
じゃなきゃ、生きられない世の中なんだ。
そんなのは見ていれば分かるんだけど、自分達は家を護る為だから正しくて、草風情は卑しいって胸張って言うんだから、ホント性質が悪いよね。
根性腐ってて殺し甲斐があるよ。
そう思って生きて来た俺様をほだしてくれたのが真田の旦那。
どうにも放っておけないんだよね。
頼ってくれるのが嬉しい。
面倒を見させてくれるのが嬉しい。
その反面、俺様達忍を全力で護ってくれる。
そんな旦那に応えない訳にはいかないでしょ。
すると、いつの間にかあの御仁の俺様を見る目が変わっていた。
忍を信用すると痛い目に遭うって身に沁みているはずなのに、馬鹿だとしか思わなかった。
けど、斬り殺されるのは嫌だから、極力傍には近寄らないようにしていたんだ。
仕合の邪魔をしちゃ悪い。お武家様の前に居るような者じゃない。
そうやって逃げているのに、追い駆けて来るんだよ。
真田の旦那も空気を読んで俺様を遠ざけてくれたらいいのに、わざわざ呼ぶんだもの。
その隣にいる竜の旦那がニヤニヤしているのが視界に入って、イラッとするんだよね。
俺様、いつ死んで欲しいと思われるくらいの恨みを買ったのかな?