佐助受

□佐助のバレンタイン事情
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今現在1月の中旬だが、立ち並ぶ店には既にピンクの看板が掲げられ、来月のイベントへ向けてチョコレートを大量に販売している。学校の帰りに佐助の食料の買い出しに付き合っている幸村が大量に積まれたチョコレートを一つ手に取った。
「欲しいの?」
「いや。今年も政宗殿にケーキを頼んでいるのだが、俺もお返しをしなくてはならんと思ってな」
「へぇ、お返し?いい事だね」
クスクスと笑う佐助に、何が可笑しいのかと幸村が首を傾げた。
「今は1月の中旬だよ?来月まで旦那の腹の中に収まらずにいられる?」
佐助は一日も持たないであろうチョコレートを指さして笑う。
「大丈夫だ……多分」
「そう?」
クスクスと笑いながらチョコレートには見向きもしない彼に、
「お前は片倉殿に渡すのではないのか?」
幸村が尋ねた。
「手作りするからいいの」
「そうか。それは喜ばれるだろう」
「うん。馬鹿だよねぇ」
「?何がだ?」
手作りケーキを楽しみにしている幸村はその言葉の意味が解らない。
「手作りチョコってやっすいチョコを溶かして固めるだけなんだよ?それで満足してくれるんだからさ。浮いたお小遣いで俺様はリーガの限定チョコを自分にご褒美するんだ」
いいでしょ?
そうしてニッコリと笑いながら幸村を振り返った佐助は目の前に佇む男にギョッと目を剥いた。当の幸村は馬鹿者と呆れて顔を押さえ、いつの間にか若虎の隣にいる政宗は懸命に笑いを堪えていた。
「それは初耳だな」
低く笑いながら小十郎が言った。口元は笑っていたが、眼は一つも笑っていない。佐助はサァッと蒼褪め、
「な……なぁんてね」
笑い飛ばそうとした。だが、それが通じるような相手ではない。
「お前はリーガのホールケーキで、俺は百円の板チョコか」
「ホールケーキなんて言ってない!限定チョコは俺様の年に一度の楽しみなんだから!」
「俺のは?」
「……百円の板チョコ」
言っていて可笑しくなってきた。佐助が思わず吹き出すと、小十郎も我慢出来ずに肩を震わせた。余りの扱いだと思うのだが、何故そこで笑えるのかと甘味好きの幸村は不思議だった。そんな若虎を連れてそっと二人の傍を離れると、政宗が苦笑しながら肩を竦めた。
「猿が小十郎に用意するのはそれだけじゃねェんだろ」
「??」
「アイツはイベント好きだろ?酒やら料理やら、前もって凝ったものを用意してるんだろ」
「あぁ、そう言えば……」
バレンタインに限らず、佐助は記念日を本当に大切にしている。一週間も前から準備を開始し、小十郎に喜んでもらえるようにと頑張るのだ。それを解っているから男も笑えるのだろう。
「片倉殿は懐の深いお方ですな」
「当然だ。俺の小十郎だからな」
「ははは、そうでござったな」
淋しそうに笑う幸村の様子に、政宗は今年のチョコケーキには若虎の望むままに果物をふんだんに使ってやろうと思った。


「もう一度訊くぞ。俺のは?」
「仕方ないなぁ。限定チョコ一個だけあげる」
「そうか」
「有り難うは?」
「あぁ、有り難う」
「へへへ、どう致しまして」




フライングネタでした(笑)
小十郎が百円の板チョコで、佐助が数千円のチョコを食べている様が可笑しくてvv
字に書くと淡々としているのですけれどね。この文才のなさ……orz

どんな扱いをされても小十郎の懐は大河のように広いのだよと言う事です。
お、上手くまとまった所で、書き逃げします!(笑)

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