ポケモン

□ルビーと帽子とサファイアとC
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「オシャレ小僧、それは告白を忘れた理由にはならないだろ?」




にやりとした顔で言ってやるとにっこりした顔で返された。




「そうですね、結局僕は自分が許せないだけなんです。僕は父とカガリさんが死ぬときにそばにいたんです。でも腑甲斐ないことに救えなかった。大師匠に忘れたフリをしろと言われたときにちょうどいいと思いました。こんな僕より君にはいい人がいる。だから告白のことは忘れたフリをしようって……」
「あたしはあんたのそういうとこが嫌い!」




いきなり野生児ギャルが叫んだ。体はふるふると震えている。




「あんたは自分で全部背負いこんでるだけ、昔のこともあの事件のことも……あたしだって悪かよ!それにあたしはあんたが好きって、あんたもあたしが好きって言ったと!なんでそれだけじゃあかんの!?」




野生児ギャルはとうとう泣き出してしまった。
珍しくエメラルドが二人のところに行った。




「もういいじゃん、昔のことはお互い様ってことで。それにそのおかげで今のお前らになったんだ。あの時の自分の否定はお互いの否定になるぜ。」
「そうよ、それに人間弱いから支え合うんじゃない。二人は真逆なんだからいろんなとこを補えあえるわけでしょ。それって素敵なことじゃない!」




クリスが便乗して言う。
そしてブルー先輩も二人に近づく。




「セレビィが過去を変えてくれたのはあなた達がホウエンの人たちが頑張ったからよ。さっきだってそうよ。ルビーがあまりにも思い詰めてるから励ましに来たのよ。もう気にしなくていいよって。」
「お前はそのセレビィの気持ちを無下にするのか。」
「ルビーは十分強いと思うよ。」
「で、どうするんだ。」




みんな次々に二人を励ます。
オシャレ小僧はこちらを一度見て野生児ギャルの肩に手をおく。
野生児ギャルは顔を上げてオシャレ小僧を見る。
するとオシャレは帽子を外した。
現われたのは額の右側にはしる痛々しい傷痕。
あれは相当痛かったな。




「こんな腑甲斐ない僕だけど、君を想う気持ちは小さな頃から変わりません。君の隣にいてもいいですか?」
「はい……ルビー大好き!」




野生児ギャルがオシャレ小僧に飛び付いてわんわん泣いている。
なんかすごい疲れたぜ。
オシャレ小僧はこちらを見て頭を下げる。




「先輩方にエメラルド、本当にご迷惑おかけしました。ありがとうございます。」
「いいのよ、楽しかったしあんたの帽子のなかも見れたしね。」
「名誉の負傷ですね。カッコいいです、ルビーさん!」
「図鑑所有者でカップル第一号よ、ルビーくん!」
「あれ、そうなんですか?僕てっきり…」
「ああああ――やめろオシャレ小僧!先輩たちはまだだ!」
「まだとはどういうことだ。」
「そのままの意味ですよグリーン先輩!」
「そんなこといったらお前だってク…」
「ち――が――う―――!!シルバーそれはない!!」
「あはは、にぎやかだな!」
「お前は特に人事じゃないぞ、レッド…」
「バカップルがドバカップルになった…」
「ドバカップルって何と?」
「より手に負えなくなったってことだよ!」




結局最後はどんちゃん騒ぎ。
まあオシャレ小僧と野生児ギャルは抱き合ったままだけどな。
とりあえず一件落着だぜ!
二人ともお幸せにな。
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