ポケモン
□君といつまでも
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サファイアはオーブンの前で固まっていた。
何度練習してもクッキーが上手く作れない。
「…全然だめったい。もう時間ないに、どうしたらよかとよ。」
「なんのこと?」
「ル、ルルルビー!?何であたしんちにいると!?」
「博士がサファイアが困ってるから手伝ってやってくれって。」
サファイアは親切な父親にがっくりとした。
手を借りたいのは山々だが、それは彼の手じゃだめなのだ。
「大丈夫だから帰って。」
「でもクッキー上手く作れないんだろ?」
「!どうして…」
「山のように焦げたクッキーがあるからね。」
キッチンの空いたスペースにはサファイアが作ったクッキーが置いてある。
ルビーはそれをつまみ上げて口に入れようとしたが、サファイアに止められてしまった。
「ダメとよ!」
「…これ、誰にあげようとしてたの?」
ルビーはむっとした顔でたずねた。
サファイアは頬を少し赤くしている。
「これは……」
「大切な人なんだね、その人。なんだか羨ましいな。」
少し悲しそうに笑うルビーを見たサファイアは慌てて口を滑らしてしまった。
「これあんたにあげようと……あ。」
「え?」
口を押さえるが後の祭りで、しょうがなく説明をする。
「ルビー今日誕生日やろ?だからプレゼント何がいいかと思って先生に聞いたらクッキーつくったらどうかって言われたけん。でも上手く作れなくて…」
そう言うとサファイアはしょんぼりとしてしまう。ルビーはそんなサファイアの肩に手を置く。
「じゃあさ一緒に作ろう。」
「それじゃプレゼントにならなか!」
「なるさ、君と過ごす時間は僕にとって何よりも好きなことなんだ。だから二人で過ごす時間を僕にちょうだい?」
サファイアは顔を真っ赤にすると、小さく頷く。
ルビーは嬉しそうに笑い、二人でクッキーを作り始める。
「君とずっと一緒に過ごせたらそれ以上のものはないね。」
ルビーの言葉に更に顔赤くするサファイアであった。