短編
□風邪
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「ほら見ろぉ、オレが言った通りになったじゃねぇか」
「・・・・・」
真樹は今自室のベッドに横になっている。
額には冷えたタオルを乗せ、元気のない表情で計り終えたばかりの体温計を見ていた。
「何度だぁ?」
「38.5度」
呆れ顔でスクアーロに見下ろされ真樹は布団に顔を潜り込ませた。
「ったく」
「・・・ごめんなさい」
風邪を引くから雪遊びを止めろと注意されたのを無視した結果だ。
数日前に雪遊びをし、その後少し風邪気味かな?と思ったがスクアーロに怒られるので黙って任務に出かけ、帰ってきた途端寝込むことになった。
スクアーロも別の任務で出ていた。
帰宅早々ルッスーリアから真樹が倒れたと聞き急いで部屋へ来てみれば、咳をし声を枯らした真樹が書類を持ってふらふら歩いていた。
おとなしく寝ていない真樹を強引に寝かせて今に至る。
「飯は食ったのかぁ?」
「はい、ルッスーリアさんが食べやすいようにって作ってくれました」
「薬は?」
「まだです」
「どれだ?」
サイドテーブルを見るが薬らしきものはない。
真樹は引き出しを指差した。
「飲み物はこれかぁ?」
「それです」
「ならさっさと飲めぇ」
促され飲む真樹だが粉薬に嫌な顔をする。
「これはいらない」
「いらないじゃねぇ」
「苦いしこれは飲まなくても大丈夫」
「何が大丈夫だ、医療隊員が調合したんだろぉ」
「それでも大丈夫」
「苦ぇなんてガキみてぇなこと言ってねぇで飲め」
「後で飲むから置いといてください」
錠剤だけ飲み終えた真樹は再び横になった。
「アホかぁ!いいからさっさと飲め!」
「いやです」
「飲め!」
「やっ!」
「このっ」
スクアーロは真樹の布団を剥ぎ口を開けさせて薬を放り込む。
「やぁ、んんっ!!」
「よ゛お゛ぉぉし!そのまま飲んじまえ」
「んんん」
覆いかぶさるようにスクアーロは真樹の口を手で押さえ、まるで寝込みを襲っているようだ。
「きゃあ!ちょっスクアーロ何してんのよ」
「あ゛ぁ?何って」
「真樹は病人なのよ!いくら可愛くても襲うなんて」
「バッ、アホかぁ!!これは」
ルッスーリアの登場でスクアーロは手を離す。
「ルッスーリアさん!苦いからやだっていったのにスクアーロさんが無理矢理私の口に押し込んで飲めって!」
「んまぁ〜!酷いことするのね」
「う゛お゛ぉぉい」
「咥えて飲んじゃったの?」
「はい。・・・くわえ??」
「私は好きだけど、初心者の真樹にいきなりフェラするなんてダメよスクちゃん」
「な゛あ゛っ!!」
「ふぇら?」
「っんなことするわけねぇだろうがぁぁぁ!!!」
「ふぇらって何?」
スクアーロの顔が怒りながらも紅くなっていく。
「苦いなんつぅガキみてえなことほざいてやがるから薬を飲ませてやっただけだぁ」
「あらっやだ、薬のことだったの。てっきり欲情したスクちゃんが我慢できなくなって無理矢理咥えっ」
「う゛お゛ぉぉいぃぃ!!」
「おごばっ」
スクアーロはルッスーリアの腹を殴り強制的に黙らせる。
なんつぅーことを勘違いしやがる。
「ふぇらって何なんですか?」
「酷いわぁ殴るなんて、あぁ真樹はまだ知らなくていいのよ。それより薬は全部飲まないとダメじゃない」
「だって」
「早く治らないわよ」
「昼に飲んだ時驚きの苦さだったんです」
「治りが悪いから薬追加されたのよ」
「・・・・・」
「おとなしく寝てないからいけないの。ちょうどいいわスクアーロ、真樹のこと看病がてら見張ってちょーだい」
「なんでオレが?」
「いいじゃない、あっでも襲っちゃダメよ」
「う゛お゛おぉい、3枚に卸されてぇのかぁ」
「冗談よ。じゃお願いね」
ルッスーリアはスクアーロにまた殴られる前に出ていった。
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