短編

□コタツ
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任務に行く前はなかった。

5日後、任務から帰ってきてみれば不釣り合いなモノが部屋の片隅に置かれている。
見下ろすとこの部屋の主はゴロゴロとまどろんでいた。


「それはなんだぁ?」
「おかえりスクアーロさん、早かったね」
「たいした奴らじゃなかったからなぁ。それより・・」
「んっ?」


畳なんてなかった。
ここはイタリアだ、日本じゃねぇ。


「あったかいよ、スクアーロさんもどうぞ」
「・・いやっ」


オレの部下であり彼女でもある真樹は、肩まですっぽりと小さな布団を被ったテーブル下に入っている。
寝転がったまま顔だけこちらに向けた。


「任せておいた書類は出来てんのかぁ!?」
「もちろん!ボスに提出済みで〜す」


実戦ではミスが目立つが書類整理や雑務は気が利き大きなミスはない。


「靴脱ぐの面倒かもしれないけどどうぞ」


どうぞと言われてもなぁ。


「通販で買ったのかぁ?畳も?」
「うん」
「狭ぇ部屋が余計に狭くなったじゃねぇか」
「そりゃスクアーロさんの部屋と比べたら狭いけど隊員の中では広い方だよ。そんなことはいいから早くぅ、どうぞ」


催促するので仕方なく靴を脱ぎ布団に足をいれた。


「あったけぇ」
「でしょ!コタツって言うんだよ」


足をいれると真樹の脇腹辺りに足が当たりに突いてやる。


「きゃっ!ちょっやっ」


くすぐったそうに反応するので足を上にずらし柔らかい膨らみも突いた。


「きゃあ!どこ触って」
「しょうがねぇだろぉ、お前がすっぽり入って狭ぇんだから」
「やだぁ、もう」


体を起こしてコタツから出る真樹。
頬を少し朱く染めながら胸を押さえている姿が可愛い。


「まったくエロいんだから」
「足でもいい感触だぜぇ」
「そんなこと聞いてないの!コタツは暖を取るところなの」
「いいじゃねぇか」
「ダメです」


真樹は軽くスクアーロを睨むが、当人は悪いと思っていない。


「コタツはね、お鍋もいいんだよ」


ガサゴソと近くの箱から土鍋を取り出した。
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