短編

□浮気じゃねぇぞぉ
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一度だけ、オレは女と遊んでいる振りをした。
いつもオレを振り回すオレの女。

オレに「女遊びをしないの?」と平気で聞いてきやがる。
だからほんのちょっとだけ懲らしめるつもりだった。












久しぶりの休日。
真樹とオフが重なり、一緒に出かけようと部屋を訪ねてみれば既にいない。


いつも勝手に出かけやがって!!
またオレが電話をかければ迎えに行くと思ってやがるんだろうなぁ。
今回は許さないぜぇ。











真樹が行きそうな場所を割り出しそこへ直行する。
さほど時間のかからない街で、気配を消して辺りを探れば男といる真樹の姿があった。

その態度はデートという割には淡々としていて店を物色している真樹。
その横で男が真樹の気を引こうと懸命になっているのがわかった。

スクアーロは気付かれないよう周囲に手頃な女を探し声をかける。
声をかければ女はすぐに良い返事をし腕を組んできた。


真樹と付き合う前はオレから声をかけなくても女は寄ってきたんだぜぇ。
今は寄ってきても相手にしねぇけどなぁ。


その状態でわざと真樹と鉢合わせるように街を歩く。
すると当然、前から歩いてきた真樹が視界にスクアーロと隣を歩く女を捉えた。
どんな反応をするか気にしていると、顔色を変えることなく声をかけてきた。


「あれ奇遇ですね、デートですか?」
「・・・まぁなぁ」
「なぁにこの子?知り合い?」


女は威圧的な瞳で真樹を見てくる。


「あぁ、すみません。私はただのお友達です」
「う゛お゛ぉぃ・・・」
「邪魔しちゃったみたいで申し訳ない、私もデートなんで」
「あらそう、行きましょうスクアーロ」


スクアーロの腕を引っ張る女と、気にもとめていない様子の女。
スクアーロは自分から仕掛けたこととはいえ怒気が高まり真樹の腕を掴んだ。


「う゛お゛ぉ゛ぉいい、てめぇ!!」
「離してください、・・・殺しますよ」
「っつ!?」


一瞬だったが、突き刺す殺気が真樹の全身から向けられた。


「冗談です。よかったですね〜素敵な彼女ができて。祝福しますよ、ではさようなら」
「・・・・・」


わかる。
こいつ、怒ってやがる!

初めてじゃねぇかぁ、殺気向ける程怒ったのは!
やべぇ、嬉しいぞぉ。


「ちょっ待て真樹」
「なんですか?まだ用ですか?私これから行くところがあるので」
「行くところ?」
「友達だからってそこまで聞くんですか?男と女、行くところって言ったらホテルですよ。外でも刺激的ですけど、最初はホテルがいいですから。じゃ行きましょうか、デラン」
「おぉ!!すぐに行こう!!」


男が真樹の肩を抱いて去ろうとするのを黙っているわけもなく、スクアーロはもの凄い剣幕で男を殴り飛ばした。


「オレの女に触るなぁぁ!!」
「何してくれてんですか、再起不能になったらホテル行っても看病だけで終わっちゃいますよ」
「てめぇ、っざけんなぁ!!ホテルだと」


訳のわからない女は既に置いてきぼり。
スクアーロは真樹の腕を持ったまま、裏路地へと強引に移動した。

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