短編

□寝顔
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「スクアーロさん!」
「お゛ぅ、どうしたぁ?」


いやに真剣な顔をした真樹が近寄ってきた。


「聞きたいことがあります」
「?」


新聞を読んでいたスクアーロはその格好のまま聞こうとすると、真樹は腕を掴みジッと睨むように見つめてくるので仕方なく新聞を置いた。


「・・・でなんだぁ」
「私ウトウト〜と昼寝してたんです」
「いつものことだろぉ」
「その時ベルさんが居たらしくて、起きた時にこう言われました」




『お前の寝顔マヌケだな』って!




「酷くありません?起きぬけにその一言!」
「・・・・・」
「寝顔まで管理できませんよ。・・・なんで黙ってるんですか?まさか、スクアーロさんもマヌケ顔だと思ってたんですか!?」
「いやっ、」
「酷い!!!自分はキレイな寝顔だからって、私のことずっとマヌケだと思ってたんですね!」


怒り出した真樹は立ち上がりまくし立てた。


「どうせマヌケ顔ですよ!」
「落ち着けぇ」
「もう絶対一緒に寝ない!誰にも寝顔見せない!スクアーロさんなんか知らない!」


プイッとそっぽを向いて真樹が早足で部屋を出ていこうとするのをスクアーロは止めた。


「待て真樹ぃ」
「離してください!」


一緒に寝ないと宣言されて離すわけがない。
ったく、ベルの野郎余計なこと言いやがって。


「オレはお前の寝顔マヌケだと思ったことねぇぞぉ」
「・・・・・」
「だから気にすんな」
「・・・嘘」
「嘘つく理由がねぇ。何度も見てるオレの言葉が信じられねぇのかぁ」
「・・だってベルさんが」
「他の奴がどう思おうと関係ねぇだろ。オレはお前の寝顔好きだぞぉ」
「スクアーロさん!」


泣きそうになっていた真樹はスクアーロに抱きついた。


「お前の寝顔はオレだけ見りゃいい。昼寝でも他の奴に見せんな」
「うん」
「一緒に寝るぞぉ」
「うん」


ギュゥと抱きしめ合い、なんとか一緒に寝ない宣言を阻止したスクアーロ。
本当はマヌケ顔で寝ているが、それさえも可愛くて仕方なかった。








「なんだい、あれ」
「んっまぁ〜ほほえましいわぁ」
「マヌケかどうかなんてどうでもいいけど・・・他でやってくれないかな」


正直言って同僚のキスシーンなんて見たくない。
大広間にいることを完全に忘れている2人に外野は見えていないようだ。


「マーモンちゃんには刺激強過ぎるかしら〜」
「子供扱いしないでくれるかい」


どうみても見た目は幼児にしか見えない。手には通帳が握られているが・・・。


「放っておいたら押し倒しそうね。私は見ててもいいけど・・・」
「見られたら真樹は寝込みそうだけどね」
「ぬおぉぉぉぉぉ!!!ぶほっ!!」


広間に入ってきたレヴィが雄叫びをあげ盛大に鼻血を噴いた。


「きっ貴様ら何をしておる!!」
「きゃあ!!」


ムサイ顔を紅く染め、近付いてくるレヴィに真樹は悲鳴をあげスクアーロにしがみついた。


「う゛お゛ぉぉい!気持ち悪ぃぞぉ、近寄んな!」
「ぬおっ破廉恥な!」
「ハレンチって・・・」
「キッキッキスなどしおって」
「やだレヴィさん覗いてたんですか!?」


覗くも何もここは共通の場だ。


「てめぇ、勝手に見てんじゃねぇぞぉ!」
「変態」


真っ赤な顔をした真樹を腕の中に隠すスクアーロ。


「恥ずかしっスクアーロさん、部屋戻りたい」
「ん゛ん゛っそうかぁ、いいぞぉ」


恥ずかしがっている真樹の額にキスをして、抱えるように部屋を出ていった。


「ぬおぉぉぉ、なんなのだ奴らは」
「やっぱり真樹は恥ずかしかったんだね」
「スクアーロは時間と場所気にしないものねぇ、まぁ〜あれでバランス取れてる2人だわ」


傲慢な鮫も真樹と出会ってから雰囲気が柔らかくなる時がある。
恋愛に無関心だったスクアーロにはいい傾向だ。
独占欲と依存と嫉妬と・・・いろいろと人より何倍も強いが。


「私も恋人欲しいわぁ」
「この前いいの見つけたって言ってただろ、あれはどうしたんだい?」
「うふっ、もうコレクションに加えたわ」
「・・・・・」


他人の趣味に口出す気はないが、コレクション優先のルッスーリアに生きた恋人ができるのは無理だろうなと思うマーモンだった。

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