短編

□剣技に惚れてる 2
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スクアーロの女に出くわしたのは偶然だった。
休日に一人で街を歩いていたら、その女が居た。

名前は覚えていない。
顔は一度見たことがあるから認識できる。

マフィアとは縁遠く普通な、いやなんとなくお嬢様タイプで清楚な感じ。
可愛いと言えば、まぁ悪くないけどスクアーロがどこに惚れたのか少々謎だ。


「あの・・」
「えっ!?」


女が声をかけてきた。
・・・何?


「真樹さんですよね?」


私の名前を知っていた。
どういうこと?

怪訝な顔を全面に出していたんだろう、私を見て女は少し泣きそうになっている。


「あっいきなりすみません」
「私を知ってるの?」
「スクアーロさんの携帯電話に貴女の画像があったから」


画像?
あのクソ鮫はなんつぅーことをしてくれる。ってか、いつ撮られたんだろ?


「だからって名前までわかるの?」
「聞いたんです。あの・・その・・・」


凄く言いづらそうにしている。
いったい何を吹き込んだんだあのカスは。


「はっきり言っちゃってよ、逆に気になるから」
「それじゃあ・・・、えっと、女としては・・その、・・・ランク外だって」


帰ったら殴るしかない。
ふざけたこと言ってんなよカス鮫。
女として見て欲しいなんて全然思わないけど、言われなくてもわかってることを他人から言われるとムカつく。


「その画像の奴が私だって言ったの?」
「はい」
「よく携帯なんて見せたね」
「・・・・・」


押し黙ったよ。・・・この反応は勝手に見たわけだ。
仲良さそうだけど自信がないのかな?
それにしたって、セキュリティ甘いだろ。


「チクったりしないから安心して」
「あっすみません、ありがとうございます」


ホッとした顔して、なんだかなぁ。
よくスクアーロと付き合ってるよこの女。
あぁそうか、暗殺部隊のことは知らないのか。
そうだよね〜、どう見たって普通だもんこの人。


「今日はお休みですか?」
「え、そうだけど」
「よかったらお茶でもいかがですか!私も今日は休みなんです」


なぜ私があんたとお茶を飲まなきゃなんないんだ。
わからない・・・この女の意図が。


「お仕事している時のスクアーロさんのこととか教えてください」


あぁ〜それか、目的は。
面倒臭いなぁ、・・・でも。


「いいよ教えてあげる」
「本当ですか!ありがとうございます!」
「その代わり、あなたと一緒の時のスクアーロのことも教えてくれない?」
「いいですよ」


聞き出してボス達に暴露してやる。
砂吐くような甘いこととか言ってんじゃないの?

気持ち悪っ!
気持ち悪いよカス鮫。

想像するんじゃなかった、女に甘い鮫とかいらないから。
鮫は戦場で剣振るってる姿だけでいい、私はそれだけで充分。


ちょっとした気まぐれで、スクアーロの女とこのあとの休日を一緒に過ごすことになった。


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