Non lasciare il mio lato (俺の傍から離れるな)

□10 鮫
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アジトについて真っ先に茉姫のところへ向かった。
談話室ではなく、個室で休んでいると知っていたから俺は返事を待たずに入室した。


「スクアーロさん」


擦り傷を作った茉姫の顔が俺を安心させる。
大きな怪我もなく生きている茉姫。


俺の・・・、こいつは俺のだぁ。


ギュッと抱き寄せて腕の中にしまい込み、その体温を確かめる。
匂いも柔らかさも、全部俺の知っている茉姫。

可愛く笑う茉姫に何度もキスをして、抱きしめ続けた。






少し落ち着いた俺が茉姫を離すとにっこり笑っている。
怯えているかと思ったが、やっぱりこいつは精神的にも強ぇ。

コーヒーを淹れて一息つく。
茉姫を背後から抱きしめるように座り直してやっと落ち着いた。

こうしてこいつを抱きしめてると気持ちいい。


「本当にビックリしました」


その時の状況はだいたいルッスーリアから聞いている。


「無事でよかったぜぇ」
「私情報なんて持ってないし、殺してもねぇ」
「俺へのあてつけだろぉ」
「そんな理由ですか」
「今まで俺が本気で惚れる女はいなかったからなぁ、弱点になると思ったんじゃねぇかぁ」
「・・・弱点になってますか私?」
「いいや」


ギュッと抱きしめる腕に力がこもる。


「心配かけてごめんなさい」
「謝る必要はねぇ、巻き込んだのは俺だからなぁ」
「確かに巻き込まれたけど、スクアーロさんが危険人物だとわかっても一緒に居たいと思ったのは私なんだから」


嬉しいこと言ってくれるじゃねぇか。
・・・が、危険人物ってのは何だぁ。


「これからスクアーロさんはどうするんですか?一緒に居てくれるの?」
「奴らを叩き潰す。すぐに済むからお前はここにいろぉ」


敵の身元は割れてるからなぁ。
全員、アジトごと全滅にしてやる。


「ここはセキュリティが凄いですね。あぁそうだ!私の部屋爆発しちゃって、真っ黒ですよね?持ち出せるものはないだろうけど、私の立場どうなってますか?」
「素性が出ねぇように情報操作してある。会社の方も上手く誤魔化しといてやったから」


TVや警察へのこいつの情報はすべて押さえてある。
ここまでできるのはボンゴレの力だろうな。


「スクアーロさんってなんでも出来るんですね」
「お前の顔が知れ渡ったら後で面倒だからなぁ、それと」
「それと?」
「俺の女に手を出したらどうなるか、見せしめにしてやる」


こいつに手を出したらどれだけ怖ぇか、徹底的に叩き潰す必要があるぜぇ。


「もしかして、私これで表の世界とさよならですか?」


その方が好都合だよな。


「なんかスクアーロさんの思惑に嵌っていくような気がする」
「そうかぁ」


思惑なんかねぇが、俺の都合いい方へ向かってるのは確かだな。
俺が表に出ることはねぇから、こいつを裏に連れてくるしかねぇ。

こんなに惚れ込むことができる女そうそういねぇ。
手放すなんて考えられねぇなぁ。
この首筋も美味そうだし・・・。


「ひゃっ、何してるんですか」
「他に傷がねぇか調べてんだろぉ」
「ありません、ちょっどこ触って」


キレイな体に傷つけやがって、マジで許せねぇ!!
もう少しで失うとこだった。
守るって言ったのに、危険な目に遭わせちまったなぁ。


「本当に無事でよかったぜぇ」


この温もりがなくなったら俺は壊れちまうかもしれねぇ。
こんなに溺れるとは思わなかった。


「大丈夫ですよスクアーロさん。ビックリはしたけど、部屋に違和感があって爆発避けられたし、刀か代用品さえあれば負けませんから。普通の女より強いです」
「あ゛ぁ、そうだなぁ」


確かに普通より強い、がそれは相手が普通レベルならだ。
暗殺のプロ相手ではわからねぇ。


「・・・1つだけ聞いていいですか?」
「なんだ」
「もし、ですよ。私が敵に捕まったとして、その場合、私は迷惑かけないように死を選ぶべきですか?」
「おまっ」


お前はそこまで考えてたのかぁ。
肝の据わった女だぜぇ。


「それとも何がなんでも生きなきゃダメですか?」
「決まってんだろぉ、死んだら何も得るもんがねぇぞぉ。お前がどう思おうとお前は剣士だ、俺が認めてやる」
「私は剣士じゃなくて会社員」
「諦めずに生きろ!お前が全力で戦ったんなら死んでも許してやる」
「厳しいですねスクアーロさんは。まっでも、頑張ってみます!だからその時は早く助けにきてくださいね」
「絶対に行ってやる」


どこにでも駆けつけてやる。
お前を助けるためならなんでもしてやる。

だから、俺が行くまで絶対に生きてろ。



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