Non lasciare il mio lato (俺の傍から離れるな)

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その日はたまたま残業が入って帰りが遅くなった。
遅くなったからと言って心配してくれる待ち人はいないけど・・・。
しとしとと雨も降ってきて家路を急いだ。

今日の残業は私ではなく上司である課長のミス。
なのに部長に私がミスしたと報告し、私が怒られて残業するはめになった。
まったく課長は媚売ることばかりが上手くて仕事は今ひとつなんだから。

お世辞にもあまりキレイとは言えない築30年のアパートの姿が見えて、近道するため細い裏道へ足を踏み入れると、目の前に何かが降ってきた。
いや、本当に降ってきたんだから仕方ない。
でも上手く着地したのか?黒い塊は道路にうずくまっている。
・・・人かな!?


「・・・あの・・、」


声をかけた後に後悔した。
世の中には平凡な者が関わらない方がいいことがある。
今まで普通に暮らしてきた。


「なんだぁ、てめぇ」


男の人の声が聞こえてきた。やっぱりこれ人だったんだ!!


「・・いえ、なんでもありません。じゃ私はこれで」


素通りすることにした。
すっごく関わっちゃいけない空気が漂っている。
さっさと通り過ぎようとしたのに、力強く腕を掴まれた。


「ひゃっ!?なっ何??」
「行けると思ってやがんのかぁ」
「何も見てません!私喋りません!じゃそういうことで、さようなら」
「う゛お゛ぉい、待てぇっつ」
「・・ん?」


声の大きい男の人は手を離してくれないまま、脇腹を押さえて痛そうな声を出した。


「どこか怪我してるんですか?救急車を」
「いらねぇ!」


即効拒否された。ってことは公になると困るってことで・・・、やっぱり関わるんじゃなかった!!


「私のこと殺さないっていうなら怪我の手当てしますよ」
「・・・・・」
「家すぐそこだし」
「・・・案内しろぉ」


殺さないという約束は取り付けなかったけど、急いでいるようだったから家まで連れ帰った。
怪我してるから放っておけなかったけど、きっと早まったよね!?
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