雨宿雨粒がそれぞれに地面をぬらす
どんより雲に世界は囲まれて
今日はかたつむりの気分
水しぶきに顔をひっこめっては
葉の陰から天をみる
早く雨よ止みたまえ
私は貝を持たない
どんより なめくじ
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蛙の日
晴れるとも
曇るとも言えない天気
元は雨であった湿気が
じめじめ と体をむしばみ
まとわりつく苦しみに
どうにもできない苛立ちを感じる
どこもかしこも じめじめ
逃れることのできない じめじめ
風の一つや二つではどうにもならない
そういえば今日蛙をみた
アスファルトに張り付いていた
水分が失われていた
こんなにも じめじめ しているのに
蛙には足りない
どうしようもなく苛苛する
今日この頃
夏の日
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二人
君と二人でどこに行こうか
何の知らない街に繰り出し
馬鹿やって
昼ご飯食べて
止まらない口からは
言葉があふれ出て
言葉で和み
言葉に笑いあう
またここに来よう
二人でどこにでも
私とあなたとどこへ行こう
なにも知らない街に不安になり
あなたが無茶をする度に息をのむ
安い定食を食べて
語り続けるあなたの顔に和み
言葉足らずの愛で笑いあう
また一緒に行きましょう
二人で行くのなら
どこにでも行きましょう
二人で行きましょう
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天の川
星多き夜空の下
草花に囲まれて
ひんやりとした土の上に腰を下ろす
蒼白い光に囲まれて
冷やかな大気に流されて
深い深い青の夜空
夜空を割る様にひとすじの川
冷えた光に流される
川の切なさに目を閉ざす
雨の川 天にふらせる涙の川
逢いたいと涙を流す
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タコの墨
足の裏にタコができた
胼胝ではなくて蛸である
水中に住まうあの蛸である
私の足の裏は真っ黒で
墨のように黒々している
これはきっとタコのせいだ
紛れもなく蛸のせいだ
黒くなりゆく床と
汚れゆく私の心
あたりは汚れて汚れて
私の近くにはだれも寄らなくなった
足は
洗えど洗えど汚れを増して
人は
笑えど笑えど遠くへ行って
もう私には蛸しかいない
足を汚すタコの墨
私からは墨は流れない
このタコがある限り
この汚れは流れはしない
はなりの空き部屋
1538回目のいらっしゃいませ