chocolate

□芍薬
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誕生日が今位の時期だったら良かったのに、と真冬に私を生んだ親を恨みたくなる5月の終わり、夕方6時の花屋の店先。


赤紫の丸い蕾や薄紅色の丸い蕾を目にして、これから行くバースデーパーティの主役に贈ろうかどうしようか悩む。


『毎年毎年自分のお誕生会を企画してやるのってどうかと思うけど! 』
『いいじゃんいいじゃん、だって大学を卒業して皆と顔を合わせる機会が減ってるし、年に一度位は集まりたいからさぁ、それにプレゼントだって貰いっぱなしってワケじゃないだろ? ビンゴの景品でお返ししてるし』


大学時代のテニスサークルで同期だったミッチーこと宮川 充が今日の主役で、1ヵ月前こんな会話をしている位だから学生時代も今も単なる仲間としてしか思えないレベルの関係。


だからおふざけで芍薬を贈ってあげるのもいいかと思いなおし、赤紫と薄紅を10本取り混ぜて花束にしてもらった。
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