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□海松《みる》
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4年ぶりに日本海から戻り、太平洋の波に乗る。
横を進む仲間達と交わす会話は、幼い頃からちっとも変わってはいないけれど、あの頃からあんまり成長していない俺に比べて、大人になったと思う。
「オメーのパドリング(手で漕いで進む)もちっとはマシになったな! 」
「昔は、おぼれかけたカメみてーだったのによー」
全員が近所の友達で、小学4年から波乗りを始めた連中だ。
「日本海の荒波でもまれてりゃ、上手くもなる」
「へぇー、じゃ、見せてみろよ」
いい波が来た、テイクオフ(波に乗る)の体勢に入る。
春の鎌倉の海は、日本海に比べてぬるいけれど、それでも乗るには充分な波が来て幸せを感じた。
「よっしゃぁ! 」
どうだ、上手いだろ。
昔はお前らに負けっぱなしだったけど、今じゃこんなに乗れるようになったんだ。