chocolate

□ラプンツェル 
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物心付いた時から僕と万里也と摩理依はいつも一緒だった、家も隣同士だし両親の職業も共に漫才師という事で。


でも摩理依はよく体調を崩し、僕らと遊ぶ時間よりもベッドで寝ている時間の方が長い。


「なあ、シュウ」
「何? 」
「ウチ、ホンマに大人になれるんかな」


まだ小学校2年生の頃、万里也が居残りをさせられたので僕が代わりに摩理依の元へ宿題を届けに行った時、そう聞かれた。


幼いながらに摩理依の体の弱さに不安を持ってはいたものの、成長さえすれば丈夫になると信じて疑わなかった僕はこう答える。


「なれるで、ウチのオカンも言うとったもん。大きくなれば丈夫になるて」
「せやけど大きくなれんかも」
「そないな事言わんと、はよ宿題やりぃや。僕が見たるさかいに」


ピンク色に統一された部屋の中、可愛らしい学習机の前にパジャマ姿の摩理依と並んで座り、鉛筆で算数のドリルを解く。
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