ケイアキ小説
□花見
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「アキラ病院行かせてあげれなくてゴメンね」
「お前が謝る事じゃないだろう。それに今日明日生きる為の金のほうが大事だろ…」
「そんな事言わせてる俺って…情けない…グスっ…」
気分が上がっているせいかケイスケの飲むペースが早い。
目頭を抑えて弱音を吐くケイスケを横目にし、ビールを一口飲む。
「アキラ…俺ねアキラといつか旅行したい、アキラにいろんな風景見せてあげたいんだ」
むせそうになるのを我慢し
「…いきなりなに話だすんだよお前わ!!」
照れ隠しに声を荒げるアキラ。
「それが俺の夢なんだ…」
ケイスケの夢が自分に関する事で驚きもあるが逆に心配にもなる。
もう少し後もう少しでいいから自分自身の事も夢に入れて欲しい。
「…お前わ俺ばっかりだな」
「へへ…そんなの今更だよ。俺わアキラが大好きだから仕方ないよ」
「…ケイスケ…」
(こんなにも想われてるのに俺は…何にもケイスケにしてやれてない)
アキラわ最近ケイスケにやって欲しいと言われていた事をふと思いだした。
(酒で酔ったと言い訳すればいい)
アキラわそっとケイスケの肩に手を置く。
20センチ10センチ5センチ
3
2
1
0。
「…」
「…」
頬にキスしたというより顔を押し付けたといった方が正解に近い。
「…アキラ」
「な、何だよ…」
「…」
黙るケイスケ。
その沈黙の間アキラの心臓が激しく脈打つ。
口から出てきそうな勢いだ。
「…ア…」
一瞬にしてケイスケが視界から消えた。
「…ぇ、お、おい!?」
膝から崩れ落ちて地面に座り混んで俯いていた。
「どうしたんだよ…なぁ…」
肩を掴んで軽く揺するとケイスケはアキラを強く抱きしめ耳元で
「腰砕けた」
と囁いた。
終わり。