ケイアキ小説

□料理
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※※※

「…ただいま」
ケイスケの奴まだ帰ってきてないのか。
残業長びぃてんのかな??
部屋の電気をつけ買ってきた材料を机の上に置いた。
あいつが帰ってくる前にさっさと作ってしまわないとなかなか作業が進まない。
俺が包丁を使えばちらちらこっちを見るし、皿を持てばまたちらちら見てくる。
ケイスケがこうなったのは俺が一度包丁で指を切ったからだ。
あれは…かなり大騒ぎだったな。
そんな事を思い出しながらケイスケがいつも着けている黒のエプロンを着けて準備にとりかかった。
まず玉葱をみじん切りにするんだったな。
手際よくはいかないからぼろぼろとまな板から落ちたり、目にしみて涙が出てきて苦戦していると
「アキラ、ただいまぁ〜」
元気のいいケイスケの声。
「…おか…えり…」
目が痛くて涙ぐみながら言うと
「ア、ア、アキラぁぁぁぁぁー!!何で泣いてるの!?どうしたの!?アキラぁぁぁ〜」
慌てふためいて俺の目を裾でゴシゴシと拭った。
帰ってくるなり騒々しい。
「玉葱…切ってただけだ…そんな驚く事なんかない」
「で、でも」
「大丈夫だから」
「アキラぁぁぁ」
「しつこいぞ!!手洗って大人しく座ってろ!!それと作ってる間近寄るな!!
いいな!?」
「〜っ」
ケイスケはしゅんとしてとぼとぼと何も言わずに洗面所へ行った。
あいつは心配性すぎるんだ。
指切った時は血が止まらなくて今みたいに慌てふためいて救急車を呼びそうになったくらいだ。
…本当に呆れた奴だ。
俺も男なんだからそんなに心配することなんてない。
ため息をこぼしもう一度準備にとりかかった。
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