ケイアキ小説

□もっと。
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「明良待たしてごめんね」
「別に待ってないからいい…」
明良はけいすけの頭からつま先まで見ると
「孫にも衣装ってこういう事を言うんだな」
とぽつりと呟いた。
「やっぱり俺スーツ似合わない!?」
「…スーツに着せられてる感じだな」
淡々と発せられる言葉にけいすけは肩を落とし明良が座ってる前の席に腰を下ろした。
「ってか何でお前スーツなんか着てるんだよ」
「あぁ、これねぇ。モトミ先生に貰ったんだ。スーツ着てみたいって話してたら
着なくなったやつあるからやるって。だから遠慮なしにね」
明らかにけいすけの声のトーンが下がっている。
別に似合ってないわけじゃない。
『似合ってる』
このたった一言が明良の口からなかなか出てこなかった。
「別に…今着なくてもよかったんじゃないのか??」
「…」
けいすけは席を立ち、明良の前に膝まつき両手を取った。
真っ直ぐ目を見つめ
「明良にすぐ見せたくって着てきたんだよ…でも似合ってなさそうだからもう着替えるね」
最後はやはりしゅんと気を落とすのだ。
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