銀色はいすくーる

□3時間目
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「おはようアルー瑠奈!」

『あっ神楽ちゃん、おはよう。
 …あれ、どうかしたの?』



昨日や転校初日ではかなり元気な姿を見せていた神楽。

だが、今日の朝は妙に重く…暗い雰囲気を出している。



「災難だったアル!」

『災難?…良かったら、相談にのるよ?』

「ありがとうネ、実は………」



今日の神楽ちゃんは様子がおかしい。

こうなったら、ちゃんと相談に乗った方がいいだろう。

そう判断し、聞こうとするが…教卓には銀八先生が立っていので、話を一旦中断させる。



「そういや、瑠奈は英語だけ喋れるアルか?
 中国とかにも居たんでしょ?
 だったら、他にも喋れないアルか?」

『えっ?あぁーうん。
 両親があちこち回るから、覚えるのに苦労したけど…
 中文也能说哟?(中国語も話せるよ?)』

「おー!凄いアル!
 他には何が話せるアルか?!」

『えぇっ!?まだ言うの?
 あとはー………Ci lo è con l'italiano.(イタリア語もあるよ)
 Oh, io realmente posso parlare.(まぁ、ちょっとぐらいしか話せないけど)』

「…ゴメン、分からないアル」

「オーイそこ。何分からない言語で話してんだー」

『Io sono spiacente!!!(すみません!!!)』

『「「…………」」』

「………ゴメン、何語?」

『イタリア語ですが…
 すみません、以後気をつけます』



シュン、と項垂れながら立って一礼する。

それからドヨ〜ン、という雰囲気のまま席に座る。

周りから見れば、ちょっと落ち込ませるようなことをしてしまったようなものだ。



「あの、先生。
 そろそろ連絡関係話して下さいよ」

「あーそういや、忘れてたわ」

「忘れんなよ!」



新八のおかげで、なんとか落ち着いたが銀八はいつものマイペースさで連絡を始めた。

だが、未だに神楽の様子は悪い一方。

そして、銀八の方はメモ帳を取り出して見てみるが…



「………ハァ」

「いやー…今日は、特に連絡なかったわ。
 悪ィ」

「結局ないんですか…」



しかし、何か思い出したように「あ」と付け足す。

新八はそれを聞き逃さず頭に「?」を浮かべ、何かあるんですか?と尋ねる。



「明日、漢字テストあるんだった。
 ちゃんと勉強しとけよー」

「先生!それはもっと早く言うべきじゃないんですか!」

「んじゃ、連絡終わり。
 はい、日直。号令」

「いや、無視してんじゃねぇよ!」

「きりーつ、れい、」



キーンコーンカーンコーン…

新八の怒号は、チャイムの音にかき消されてしまった。

…哀れ、新八。


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