銀色はいすくーる
□2時間目
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−火曜日(Tuesday)−※祝日
『…ふぅ、やっと洗濯が終わったかも』
「姉ちゃん、お疲れ様」
そういって、智春は洗濯を終えた姉に冷たいお茶を手渡す。
丁度喉が渇いていた瑠奈は素直にそれを受け取る。
『あ、ありがとう。
それにしても、沢山ありすぎだよ…
洗濯まとめてしなくちゃいけないんだもん』
「ま、それが母さんたちだし…
いつも俺達やお手伝いさんに任せっ切りだし」
『だもんね?』
プルルルルルル…
『あっ電話だ。でてくるね〜』
「うん」
瑠奈は、パタパタと電話機の方へ駆け寄る。
そして、鳴り続く電話を取った。
『もしもし?』
《もしもし、お久しぶりね》
『えっとぉー…誰ですか?』
《あら、日本に帰ってると聞いて電話してみたんだけれど…》
『あっ…もしかして、ミツバさん?!』
《ええ、そうよ》
相手はミツバさんだった。
実際、会ったのは幼い頃なので智春は覚えていないが、瑠奈はよく覚えていたのだ。
『お久しぶりです!
すみません、引っ越しの片付けですっかり電話しそびれていて…』
《いいのよ、別に。
それよりも銀魂高校にきたみたいじゃない》
『あっはい!まだ色々と不安がいっぱいですけど…』
《そういえば、私の弟も銀魂高校に居たわよ?
会っていないかしら?》
『弟さん?』
ピンポーン…
『あ、すみません。
誰かが来ちゃったみたいですから…
ちょっと…また後でお電話しますから』
《あら、そう?
それじゃあ、また今度ね》
『はーい、それじゃあまた!』
カチャ…
『・・・ふぅ!
えっと、玄関の方は…あれ、智春が行っているのかな?』
そして、電話を切ると玄関へ向かった。
「オイ、ここでいいんだよな?」
「いいんじゃないアルか?
ていうか銀ちゃんがここまで連れてきたネ!」
「オーイオイオイオイ、全部銀さんの所為にするなよ。
なんでもかんでも銀さんの所為にしたらいいってもんじゃねぇんだぞー」
「先生、とりあえず先に入りやしょうぜ」
「んじゃ、失礼し…」
ガチャ…
「うわっ!」
そこには瑠奈の予想通り、智春が来ていた。
訪問者はというと……絶句中。
そう…1z生徒。彼らであった。
『あ!皆さんだったんですか、お客様って…
えーっと、どうかしたんですか?』
「おー、つーか本当に子供居たのか…」
「は?子供?
…何いってんの、オッサン」
「…お前なぁ、俺まだ20代だぜ!?
ンなオッサンって言っていいと思ってんのか!」
「ププッ、オッサン呼ばわりされてるネ。
銀ちゃん」
「うるせぇ、黙れよ。チャイナ娘」
どうやら1zの生徒と揉めているようだ。
智春は、電話中の瑠奈の代わりに出ただけなのだろう。
だが、そんな智春の対応にキレる人たち。
瑠奈はその声を聞いて、慌てて玄関へと駆けよる。
「テメェッ!いくら瑠奈の子供でも許せないネ!!」
「……ハ?何いってんの、お前」
「「「………?」」」
『…え、子供?』
「だって、昨日部活の話で、「子供がいるから無理っぽい」って言ってたネ!」
『な、なんだ…それは違うの。
弟がいるって意味だったんだけど…
ごめんね?なんだか勘違いさせちゃったみたいで』
「因みに俺は、瑠奈姉ちゃんの弟の神崎智春だっ!」
そして、一同がようやく理解した所で遅れてきたのが志村姉弟。
先に来たのは、澄ました顔で弟に荷物を持たせていた妙だ。
荷物を抱えて、一生懸命走ってきたのが新八だ。
「ごめんなさい。
…ってあら、瑠奈ちゃんの家ってこの辺だったのね。
先生たちと同じマンションだったなんて…
でもまぁ、楽出来て良かったわ」
「ちょっと待ってくださいよ!
結構重いんですから…」
「「「「………」」」」
『あっお妙ちゃん!
それに、新八君も!』
この空気の流れでやってきた2人に、呆然とする。
それにしても…よくもまぁ、そんな大荷物で来たものだ。
みんな、それに驚いている。
「あら、皆どうしたのかしら?
私の顔に何かついているのかしら?」
「「「「…い、いや」」」」
「…?」
「えっと、何かあ…
でぇぇぇ!?本当に居た!」
「お前らまで勘違いしてんのか?」
「「え?」」
『あー…あのですね?』
瑠奈は、一つ一つ丁寧に説明していった。
智春は弟だと…子供はいませんと。
更には、私は子供を作ってはいない…と。
というか、子供ってどうやって作るの?…と。
「あーそれはだな。
ていうか、説明した方がいいか?真面目に」
『え?』
「先生、一応子供を常識人に仕立て上げる人が何言っているんです?
…でもまぁ、いずれ実践しなくちゃならないものね。
教えましょうか?」
『えっと、教えてください!
あ、もしかしてキスしたら出来ちゃったりするんですか?!』
「「「「「「(この人、何も知らないんだ…)」」」」」」
「…もしかして、お前ら。
姉ちゃんに子供いるかと思ってきたわけ?
ハッ暇な奴ら」
『こっこら!智春!
みんなにそんなこと言っちゃ駄目だよ!』
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