銀色はいすくーる

□HR
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『うー……
 おはよう、お母さん』

「あら、もう起きてきたの?」

『朝からこんなガタガタ音出されちゃ、嫌でも目が覚めちゃうよ……』



イライラと共に朝目覚めてきた私。

しかし、そんな私を気にせずに母はケロリと謝罪の言葉を口にする。



「ああ、それは御免なさいね?」

『謝る気ゼロですか…』

「無論、ないわよ」

『……(そりゃそうか)』

「姉ちゃん、はよ」

『うん、おはよ。智春』



朝一番に声をかけてきた母は今、大きな旅行用バックに私物を詰め込んでいる最中だ。

そして、後ろから私に抱きついてきたのは弟の智春。いつも甘えん坊なのだ。

そして、今日は土曜日。(Saturday)

のんびり寝ていたのだが、うるさい音に起こされてしまった。



『…あれ、何の準備してるの?』

「あぁ、海外旅行よ」

『ごっ…ごめんなさい、もう一度……
 よく聞こえなかったかも』

「あら、瑠奈ちゃんと智春君はね。
 日本に帰るのよ?明日」

「え…マジかよ」

『………本当なの?お母さん』



母曰く、既に自宅の方は確保しているらしい。

確か、高校は「銀魂高校」という、一歩間違えれば卑猥な学校名だ。

そんな所に、転校しなくてはいけないと思うとちょっとガッカリする。



『えっとーねぇ……
 どういう流れで私と智春が日本に帰って、母さんは海外旅行?』

「あら、母さんだけじゃないけど?父さんと…よ。
 それに、貴方達から昨夜言いだしたんじゃないの。
 日本に帰りたいだなんて言いだしたのはそっちじゃないの!」

『えっ?!
 あ、あれは……』



確かに言ったのは私だが、あれはあくまで冗談の内だったのだ。

だけど、この両親にはそんな冗談が通用するはずもない事分かっていたはずなのに…



「めんどくせぇよな。一々」

「何いってんのよ。
 どうせ、瑠奈と2人暮らしなんだから〜
 寧ろ羨ましいんだけど、智春」

「えっ…姉ちゃんと?」

『…智春?』



何故だか知らないが、智春の方は顔が真っ赤になっている。

……何考えているんだろう?



「あらあら〜、じゃっそういうことだから…
 今日には、ここ売り払うの。
 あぁ、荷物は既に持って言ってるからね!」

『準備早いなぁ…』



とりあえず、冗談のつもりが私達は、

日本の歌舞伎町へと引っ越しする事になった。


【HR】
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