青の言葉(22)
□オモイデ
1ページ/1ページ
何度も思ったよ、きみとの思い出なんて全部消えちまえ!って。
友達に愚痴こぼして騒いで、自分で悪口言いながら他人に言われるとなんかむかつく。
きみが全部悪いって思えたらどんなに楽だろうとか思ってみたけど、でも意気地なしだからそんな事出来なくて、結局全部消えちまえ!って。
でも月日が流れ、大人になって、思い出す事もなくなって、もちろんそれはいつも思ってるからじゃなくて、でもお酒飲んだ帰り道にふと思ったりするんだ。
「みんな幸せになってればいいな」って。
カッコつけて空なんて見上げてみるけど、深夜なのに外は煩くて、ビルに囲まれて月なんて見えなくて。
それでもどこかで笑えてればいいなって素直に思って、なんだか一人で笑えて優しい気持ちになれる。
きみが僕にした事・してくれた事、僕がきみにしてしまった事・してあげた事。
ありがとうとか、ごめんなさいとか、許してもらうとか、許してあげるとか、好きとか嫌いとかそんな感情じゃなくて、
ただ漠然と、幸せな日々を送れてたらいいなって思ったりするの。
だからもう消えちまえ!なんて言わないよ。思い出すのにも時間がかかるくらい心の奥の奥に行っちゃたけど、
それは埋まっちゃったんじゃないんだ。そこに積み重なって、僕の一部になったんだ。
だから思うんだ。
「みんな幸せになってればいいな」って。