灰色蒼恋歌
□任務、始動:下-8-
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――ボクの中の何かにヒビが入る音がした。
こういうのが、まだ"捨て切れていない"所なんだろうな……。
『――ごめん、遅れた』
「……何して―――お前、その足」
――足? あぁ、怪我の事か。
『うん。すごいよね。ついでに言うと、お腹もぐっちゃぐちゃだよ』
ボクはビローンと穴があいている個所を指さす。やったあとに、誤魔化さないといけないことになるということに気づいて、後悔したけど。
「レンカ、それ笑って済ませられる傷じゃないと思いますよ……。て言うか、それ神田より酷いじゃないですか!!」
『だいじょぶさ、過度に頭がクラクラして貧血気味だなんて事はないよ』
「それより、お前さっきから何でフードを被っている?」
うん、めずらしく神田くんが自分から突っ込んできたよ。でもさ――うわぁ、そこ突っ込みます? 普通、スルーしてくれるところではないのですかな、とも言ってられないので、ボクは口を開く。
『うーん、イメチェン、みたいな? ほら、察してくださいよ、女の子にはいろいろあるんですよ』
「――気味悪ィ」
「神田は、どうしてそういう言い方しか出来ないんですか!!」
「コイツがわけわかんねェこと言ってるからだろ!?」
「そうだとしても、神田だってもう少し言い方と言うものがあるでしょう」
――――来たよ、エンドレス! 理由なんてどうでもいいくせに。二人とも、子どもだなぁと笑いながら傍観している訳にもいくまい。
『ねぇ、変な時に現れて空気を壊したボクが悪いんだけどさ――アクマ、放置していていいの……?』
ハッとしたように、アクマを見る二人に軽く呆れる。
『イノセンス。ララを、助けに行こうじゃないか――って聞いてないか』
目に怒りを浮かべて、アレンはさっさとアクマのもとに向かっていってしまった。
―――うん。これで話の軌道も元に戻るだろう。
『それにしても、お腹がスースーするよ……』
「……お前は、その傷でどうして立って居られる――?」
―――あぁ、ずっとこっちをジロジロと見ているな。とは思ってたけど、そんな事か。
要約すると、つまりは"どうして、生きてるのか"と言うところだろうか――。
『―――さぁ。ボクにもよく分かんなよ』