灰色蒼恋歌

□魔女の棲む村:上-2-
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ボクは落ちていた。

そう。ただ単純に空から、地面へ。


クソ神こと自称神からいきなり空に放り出されてから、ボクは現在進行形で地面に向かっている。


『……とりあえず、ボクに死ねと言っているのかな?』


ボクは、目線を下に向ける。
黒く怪しい笑いを顔に貼りつけながら。

―――――着地、ねぇ……。


まず、下には地面と言うよりうっそうと木が茂っている森があるだけで、助かる見込みははっきりいってゼロだ。


『って言うか、やばくないかなぁ…このまま落ちたら、痛いとかの問題では……』


そうこう思案している内にも地面はどんどん近くなる。



『やっぱり、やるしかないよ……な、っと!!』


ボクは身を捻り、空中で一回転をしてからキレイに着地をして見せる。
ま、多少のケガは御愛嬌だ。

人間、案外やれば何でもできる。と信じたい。


――――ガサッ


『!?……誰か…な?』


背後から聞こえた、草がすれる音。
妙に殺気だった気配が一つ。
ボクのすぐ後ろからする。

……もう一つは問題無さそうだ。


『ボク、何か悪い事したっけなぁ…。 何もしてないよなぁ…。 うーん、この森、所有地だったとか…?』


せめて、落ちる場所とか教えてほしかったなぁ。
神サマは、トリップ先も教えてくれなかったし。

対処の仕様がないよ…。


「おい…お前、何者だ?」


息がかかるかと言うほど、近くに居る、その気配の持ち主は現在ボクに刃を向けている。

 
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