4leaf clover
□one leaf 2
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side of 空
「―――で、何なんだこのメンツは」
寮の談話室で、第一回三送会実行委員会議が開かれた。
窓の外では雪が降っていた。
俺の右隣には一つ下の後輩黒田俊介。
俺よりも断然バスケが上手いバスケバカ。
黒田の正面にいるのは桜井愛美。
俺のルームメイトである桜井飛鳥の妹。
黒田に熱烈な視線を送っているのは気のせいだろうか。
俺の左隣には菊地夕夏がいる。
こいつもバスケバカだが、クラスも同じだしなんだかんだ言って俺の中では一番仲のいい女子。
そして、俺の正面にいるのは稲森華。
バスケ部の喋れないマネージャーで学校中の男子がこいつのことを可愛いと騒いでる。
実は中学からの知り合いだが、そんなことがバレた日には男共の質問攻めに遭うだろうから、気づかれないように彼女とは距離を置いている。
稲森さんの隣は今は空いている。
が、そこに誰が座るのかはもう誰もが分かってる。
「やあみんなお待たせ」
桜井飛鳥。
俺のルームメイトであり部活のキャプテンであり一応一番の友達であり…悩みの種でもある。
いいヤツなのは確かだが、こいつといるとろくなことが起こらない。
「桜井…お前まさか、わざとこうした?」
「おいおいワカ、昨日夕夏さんがみんなの前で公正なるクジを引いたのを見てただろう」
ちなみに俺は、大抵の人からワカと呼ばれている。
名前が若林空だからだが、後輩からも「若林先輩」だし、下の名前で呼ばれることはほぼない。
桜井はそこで改めて俺らの一人一人を確認した。
「ウム。申し分ない人材が揃ったな。
現役バスケ部で体力のある男子3人と麗しき美女3人、乱交にはもってこ…」
夕夏の鉄拳が空を切り、桜井のメガネが宙を舞った。
「桜井ぃ!っていうかワカってば、アタシがズルをしたとでも思ってるの?」
「や…そういう訳じゃないけどさ…いくらなんでもこれは偶然が行き過ぎてるだろ」
なんといってもマネを含めて6人中5人がバスケ部、しかも寮生のバスケ部全員が選ばれたのだから。
もう一人だって委員長の妹だし。
夕夏が俺を肘で突っついた。
「はいはい。決まったからには余計な文句をごちゃごちゃ言わないの!
じゃ!全員揃ったみたいだからはじめよっか!」
黒田が「ウイッス!!」と元気よく返事する。
俺の正面では稲森さんがうなずいていた。
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