●GSに沈む●

□皆で進めば恐くない!
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あたしに、そんな事無理無理無理ーぃっ!!

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「広花さん、明日から学校に、また通えるんだって?」
『あ、ピート!お帰りなさい!』

控えめに住宅街に建つ真っ白な壁の教会
主の唐巣と一緒に帰って来たピートは、広花の朗報を聞いて、彼女の部屋を訪れる

『そーなの!でも、学校が一度に受け入れられなくて、何校かに分けてクラスの皆がバラバラになっちゃうかもって言ってた』
「そっか、せっかく、新しいクラスだったのに、残念だね」

部屋のドアノブに手を掛けたまま、中途半端な位置で広花と話す
入って良いものなのか、悪いものなのか
男ばかりだった生活に女の子が来たのだ
多少………いや、大いに気を使う

『あ、そーだ、ピートって何が大好き?』
「え?なにって、何が!?」
その唇から好きと言う言葉が出るだけで何故かドキッとする
『今日は、あたしが晩御飯の当番だから、久しぶりに奮発しちゃおうかなぁって』

あぁ、そうだ…
自分は、ヴァンパイアハーフと言う事を、何故だか この子に伝えていない
食べなくても植物の気を吸いとって生を得られると言うのに
ここ数週間は、キチンと食事を摂っている

広花に知られたくない?
言う機会を失ったと言う事も有る

広花に知られたからといって
軽蔑される事はないのだろうけど、自分の中を流れる血に自信が持てないでいる

「そうだなぁ、じゃあ、ビーフシチューとか?」
『とかって…』
じとーっと、ピートをみる
さすがに適当に言ったのがまずかった
しかし
まぁ、そんなものかと、広花は、キッチンへ向かった


トントントンと、リズミカルな音がキッチンに響く
タマネギを刻んだら、次はニンジン、ジャガイモ、それにメインの肉も忘れずに

材料を切り終わったら少し炒めて…お水を張って
ビーフシチューは、ビーフシチューの元で作ろう

香ばしい香りがキッチンの窓から外へと逃げていく
広花の鼻唄がきこえる

恐らくサビの部分に入ったのだろう
鼻唄の調子がテンポよくなった

と、同時に
バタン!!!!
『わーーっ!?びっくりしたーー!!』
キッチンの勝手口が開く、開けたのは唐巣だ
「くっ!!」

『唐巣先生!?』
唐巣の服は泥にまみれていてボロボロだ

「そこの角でね………いきなりバイクが飛び出してきて、この様だよ」

そこに、大きな音で何事かと駆け付けたピートがやって来る
「唐巣先生!?」
「そこの角でね………いきなりバイクが飛び出してきて、この様だよ」

『あれ!?デジャブ!?さっき、そのくだりやったんですけど!?』

つっこみは、忘れない広花である。


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