●GSに沈む●

□いってきます!!
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ずっと、一緒にだと思ってたのに…

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高い山の上に大きな屋敷が建っている
そこに辿り着くには、登山グッズが必要なのでは…と思わせる山奥だ

空の雲が少し近く見える、キラキラと太陽も近く見える
鳥達も落ち着いて………バサバサバサ!
屋敷の周りの鳥達が一斉に飛び立った…少女の大きな声に反応して

『えーー!?ちょ、待って!?お婆ちゃん、嘘でしょ!?』

腰までのストレートの髪をポニーテールにし、Tシャツにジーパンのラフな格好
少女の名前は、海野広花 17歳
屋敷の主、海野海燕の孫であり、海野道場霊明拳(レイメイケン)の弟子だ
細かく言えば、孫ではなく海燕が拾って来た子なのだが
海燕は、広花の事を孫の様に可愛がっているし、広花もまた慕っている

「ったく、うるさいねぇ…この子は…いつまでも子供じゃないんだから喚くんじゃないよ」
両手で耳を塞ぎ、鋭いその目で広花に落ち着けと言わんばかりに見つめる

『だってだって!この道場を出て行けなんて言うんだもん、ずっと一緒だと思ってたのに酷いよ、お婆ちゃん』
涙ぐみながら、海燕の服の裾をつかんで抗議をする広花
離しな!と、海燕は広花の手を払う
「良いかい?良くお聞き、別にお前が嫌いになって出て行けなんて言ってるんじゃないんだよ?
アタシが、ちょいと世話したGS(ゴーストスイーパー)に修行のために預けるって言ってんだ」
『修行って…お婆ちゃんの元でも出来るじゃない、なんで、よりにもよって遠い…』
広花は広い座敷に、ヨヨヨヨヨと言わんばかりに、うなだれた…動かない
「遠いって…ココからじゃ、コンビニでも遠いじゃないかい」
『そんな事言ってるんじゃないのーー!』

「あーもー!うるさいね!とっとと行っておいで!!!コレが紹介状だよ!!」

________追い出されました。とても不安です。飛行機に乗りました。

ひーん!飛行機ですら初めての体験だって言うのに…GSの元で修行って…
大体、そんなハイカラな…霊術師とかなんとか、そんな呼び方で良いじゃない…うううっ

心の中で海燕への愚痴や不安を渦巻かせながら空港に降り立った広花
『つ、疲れた…何で一旦、関西方面経由したの、よく解んない…お尻痛い………!!』
妖気…空港に妖怪−−−−−広花は危険な妖気を察知して、荷物を置いて走り出す
『確か…この辺り……』
もし人に危害が加えられたら大きな事件になりかねない…と、広花は無意識に指で口元をなぞりつつ考える

「君、ここは関係者以外立ち入り禁止だよ?何か用事があるのかい?それとも道に…
そこに空港の警備員が広花の行動を不審に思って声をかけて来た…が!
コチラに勢いよく何か来るのが視界に入る
「逃げてー!!!!危険よ!」
『!?』「!?」

『ボディコン!?乳尻太もも!?』
つっこむ所はそっちではない…が、そっちの方に目がいく広花
ボディコンに身を包んだスタイル抜群の女性が追いかけているものは…
キマイラ…複数の獣が合成された妖怪である。
広花の見立てでは…強さは中の上‥‥考えるよりもまず行動!
キマイラがこちらに向かって襲ってくるのだから
「なんだ、あれは1?もしかして、上が言ってた例の!?」

『隠れてて下さい!!傷つけられたら死に至ります!!!多分!』
「多分って、なんだー!?」
『いいからー!隠れててってばーー!!』

キマイラが興奮して、広花の後ろの警備員に飛びかかる!!が、広花がキマイラのシッポを掴んで背負い投げをする
キマイラのターゲットが広花に移り広花の頭上から大きな爪を生やした前足を豪快に振りかぶる
広花は、瞬時にキマイラの懐に入り、手のひらに霊力を集中させて鳩尾を、グン!と押した

キマイラは、ギャン!と足下のコンクリートの上で、のたうち回っている
そこに、ボディコンの彼女と、幽霊の少女、荷物持ち?が、キマイラに追いつき、札を出し…
そして…札の中へキマイラを収めた

札の中へ流れる様に吸引した様をみて目を丸くする広花
もしかして…これがGSって言うもの?
『あの、もしかして、ゴース…「僕!横島!!お嬢さんお怪我は有りませんでしたか!そーですか!そーですか!では、お詫びに僕と一緒に、お…ゴブッハー!」』
広花の言葉に被り、荷物持ちの男が急に身を乗り出してエスコートを繰り広げる
呆気にとられて、そのまま流されていると、豪快なツッコミがボディコンの女性から入った!KO!

『う、うわぁ…………大丈夫なのかなぁ…』
少し引き気味に横島と名乗った男性を見ながら、大丈夫だった?と、心配する女性に向き直る
「気にしないで〜?しっかし、あなたが居なかったら、今頃死人の一人や二人でてたわ、そーしたら、賠償金どころじゃなくなってたし、プラマイ0どころじゃなくってマイナスだったわ」
『あ、あの…お姉さんは、GSさんですか?ココの空港で待ち合わせをしてるGSさんがいるんですけど』
と、もしかして、そうじゃないですか?と海燕の書いた紹介状をコートのポケットから出す

「この、封蝋のマーク…もしかして、海燕のバーさんの!?」

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