小さな本棚
□NLエンドなんて認めねェ!! BYルキ
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「野田! こんなところに居たのか」
屋上に行くと、一人野田が立っていた。
下の方を見つめ、立っている。
「何か用か」
顔も視線も此方に向けず、言い放った。
野田の視線の先には保健室があった。
「…ゆりが気になるのか?」
「別に。お前には関係無いだろう」
スパッと言い切ると野田は黙り込んだ。
数分の沈黙の後、再び野田は口を開いた。
「これからどうする気だ」
「え?」
「だから…」
すっと野田はこっちに体を向け、意味など無いと分かっていながらハルバードを向けてくる。
「影は消え、天使もおとなしくなって。…もう戦線の存在意義など無い。
……どうする気だ?」
何かを悟って、悲しんでいて。でも少しでも希望に縋りたい。そんな目で野田が見てくる。
例えるなら。いつまでも楽しい場所に居たいのに、帰るときが分かってしまった。
でもまだいたい。そんな子供のような“目”。
だからオレはそれをあやす親のように、優しく話す。
「卒業式をするよ」
「卒業式?」
「そう、卒業式。戦線を卒業して…皆逝くんだ」
野田は目を見開き、しかし悟られまいとハルバードは動かさない。
「お前も消えるのか、音無」
「オレは消えない。またゆり達のように此処に苦しんで、あらがって、いつく奴がいるかもしれないしな。オレは、そういう奴も逝かせてやりたいんだ」
「そうか」
野田はハルバードを下ろしてフェンスにたてかけ、自身もまた、フェンスに寄り掛かった。
どうせ野田も消えてしまうのならば。
叶わぬこの想いを打ち明けるのも良いかもしれない。
「な、なぁ野田」
「あ?」
「さっきのは表向きの理由、本当は…お前を忘れたくないんだ」
ガシャン!と乾いた音が響く。